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[ニュース分析]医師だけが専門家という優越意識…代案示さず、強硬闘争のみ

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ハンギョレ新聞

専攻医の70%が集団休診に参加した理由 エリート主義と被害意識が重なり 「医療の公共性」に対する認識の隔たりも

 「医学部の定員拡大」などに反発し、無期限の集団休診を行っている専攻医らは、結局“出口”を見つけられなかった。彼らは医師界と韓国政府の対立局面で、最も強硬な態度を示している集団だ。専攻医の集団休診への参加率は70%台で、参加率が10%を下回った開業医らよりさらに一丸となって集団行動を行っている。専攻医たちはなぜますます強硬になっているのだろうか。医学部の定員拡大▽公共医科大学の設立▽漢方薬への医療保険適用など、いわゆる「4大悪医療政策」という表面的な争点の裏には、さらに複雑な理由がある。 ■“医師”だけが専門家?  専攻医らは政府の「一方的な政策推進」に憤りを感じていると訴えている。政府が病院協会や医学部側の話だけを聞き、当事者である医師とは協議をしなかったという主張だ。これは政府も認めている。ところが「医・政協議体」を構成し、共に議論しようという政府の提案も医師団体は拒否した。政策の全面撤回を約束しない限り、「政府を信頼できない」というのが彼らの言い分だ。「医学部の定員拡大」など医療政策を決定する協議機構に患者団体などが参加することにも反対している。医者以外は専門家ではないと見ているからだ。  現在の状況は「医師の“エリート主義”が、自分たちが健康保険診療報酬などの医療政策のために損害を被っているという“被害意識”とあいまって増幅された結果だ」と、釜山大学歯医学専門大学院医療人文学教室のカン・シニク教授は診断する。カン教授は「医師は患者との関係で優位に立っており、成績最上位者だけが医師になれる現実が優越意識を煽っている」とし、「これは『医師だけが医療の主体でなければならない』という医師の論理につながる」と指摘した。特に、専攻医の場合は、修練時間を週80時間以下に制限する専攻医特別法もきちんと守られていないなど、劣悪な労働環境に置かれていることに対する不満が普段から多いため、開業医など他の医師集団より被害意識が強くなるという。  専攻医らは公共医科大学を設立し「地域医師」を選抜しても、結局10年間の義務服務期間が過ぎれば、現在のように首都圏や皮膚科、整形外科に医師が集中することになるとし、政府の政策を強く批判している。しかし、地域医療格差の解消に向けた具体的な代案についてはほとんど語っていない。嘉泉大学医学部のペク・ハンジュ教授は「専門家であり当事者でもある医師が政策決定から排除されたという主張だけで、自ら解決策を作ったり、市民社会と疎通しようとする姿勢は見られない」とし、「医療専門家としての役割を考えると、国民の命よりもっと重要な原則はない。ただちに集団休診をやめるべきだ」と述べた。 ■公共に対する認識の違い?  「公共医療」または「医療の公共性」に関する視点においても、政府と専攻医らの間で認識の隔たりが大きい。保健福祉部の幹部が「医師は公共財だ」と発言した事実が知られると、専門医らは憤りを隠さなかった。医師を「物」や「資源」同様のものと見なしているという感情的な反発だったが、この背景には公共性が脆弱な韓国保健医療システムの根深い問題が存在する。延世大学保健科学部のチョン・ヒョンソン教授は「学問的に公衆衛生や予防医学は公共財であり、医師が提供する医療サービスは教育と共に価値財に分類されることもあるが、一般の人々にとっては義務教育のように医療の公共性も価値があるという点が重要だ」と指摘した。しかし、こうした期待とは裏腹に、医師たちは民間市場での競争でまず生き残らなければならない。医療機関の95%以上が民間に任されている構造であるためだ。  医師を育成する過程で、やはり国はほとんど責任を負わなかった。政府が今回導入すると発表した「地域医師」と「公共医科大学卒業生」は、国から全額奨学金をもらえる代わりに、国家と社会のために10年間服務する義務があるが、これまでの医大生または専攻医らは違う。「親が投資して、あるいは自分の金で医学部を卒業しており、国に助けられた覚えはない」という論理はここから生まれる。人道主義実践医師協議会のチョン・ヒョンジュン政策委員長は「保健医療自体を商品と教える民間中心の医学教育の下で医師が育成され、民間医療供給がほとんどを占める現在の状況で、医師団体が専門家集団ではなく、利益団体の役割を果たすのは当然のことだ」とし、「逆説的に、民間中心の医師らの今回の反発は、なぜ国家奨学金で育成する地域医師、公共医大が必要なのかを示している」と述べた。  専攻医らの後ろにいる大韓医師協会(医協)や医学部教授らが、専攻医の問題をさらに複雑にしているという指摘もある。ソウル大学保健大学院のキム・チャンヨプ教授は「すでに政治的なイシューになったため、政策的な論争で解決するのは難しい」としたうえで、「政府と医者だけが妥協する問題ではなく、国民と患者など公共保健医療に関する多くの利害当事者も参加する協議構造をつくり、問題を公論化しなければならない」と述べた。 ファン・イェラン、チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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