トランプ次期大統領が画策するウクライナ戦争の停戦・和平交渉、ウクライナの“中立国化”が現実的ではない理由
■ 「ウクライナ戦争を終わらせる」と豪語するトランプ次期大統領だが… 2025年1月20日(現地時間)に2期目の米大統領に就任するトランプ氏。間もなく4年目に突入するロシア・ウクライナ戦争について豪語し続ける「(大統領に返り咲けば)戦争を24時間以内に終わらせる」「ウクライナ支援をストップする」との計画をいよいよ実行するのか、全世界が固唾を飲んで見守っている。 【写真】トランプ氏は「ウクライナ中立化」のカードを切るのか?自前国防が原則の永世中立国・スイスは国民皆兵を採用 ウクライナ戦争は激化の一途で、2024年10月北朝鮮がロシア支援のため1万人超の兵力を激戦のクルスクに派兵した。対抗策として米バイデン政権は厳禁としてきた米製ATACMS地対地ミサイルの長射程型(射程300km超)によるロシア本土攻撃を、ウクライナのゼレンスキー大統領に許可。ウクライナ軍は即座にこれを使いロシア本土を攻撃した。 同様に英仏も、空中(戦闘機)発射型の長距離巡航ミサイルストーム・シャドー/スカルプEG(射程約250kmだが、自国向けは約560km)でのロシア本土攻撃を追認した。 対するロシアのプーチン大統領は「(戦争が)世界的な性格を帯びることになる」と警告。報復措置として間髪入れずに最新型の極超音速中距離弾道ミサイル(IRBM)「オレシュニク」を使ってウクライナを攻撃した。核兵器使用を示唆しているのは明らかだ。 プーチン氏はあえて「IRBMを使った」と強調し、当初観測されたICBM(大陸間弾道ミサイル)説を完全否定。アメリアの首都ワシントンやニューヨークには届かないが、全欧州が射程内に入ることを暗示し、米欧の不協和音を狙っていると見られるなど、とにかく狡猾だ。 戦争がエスカレートする中、「トランプ氏は本当に停戦できるのか」と危ぶむ声も大きくなる一方だが、トランプ氏の腹心で副大統領となるバンス上院議員はウクライナの中立化を強調。ゼレンスキー氏が懇願するNATO(北大西洋条約機構)加盟を最低20年間凍結し、ロシア占領下のウクライナ領土(国全体の約20%)を緩衝地帯として即時返還は諦める──という「停戦草案」を仕込み中だと欧米メディアは報じる。