待機者1万人超、臓器移植当事者の「感謝」伝えたい
弟から腎臓移植を受けた中井さんは「よく決断してくれたなという感謝の気持ち」と話します。 「社会人になってから腎臓が悪いことがわかり、2年ほど人工透析を受けましたが、人工透析は週に3回、毎回2~3時間はかかります。30代後半、働き盛りで仕事も一番がんばっている時期だったので、透析に通うために思ったように働けずショックでした。弟がドナーとして名乗り出てくれ、移植を受けたおかげで無理のない範囲で仕事に復帰し、普通に近い生活に戻ることができました」 「毎回時間をとられた透析に通う必要もなくなり、水分コントロールをしたり体がむくんだりすることも無くなり、人工透析に通っていた期間があった分、移植のありがたさをより強く感じています」
「それまで寝たきりだった人生が、 比較できないほどに変化した」
渡邉さんは幼い頃より心臓に疾患があり、亡くなった方から心臓の提供を受けました。幼い頃より体が弱く、大学生の時には車いす、そして酸素を吸う生活になり、移植を受けるまでの数年間はほぼ寝たきりの状態だったといいます。 「20代半ばの頃、当時の主治医の先生に『何歳まで生きられるか』と尋ねたことがありました。そうすると先生は『30代かな』と。ショックでしたね。しかし今から10年以上前に心臓移植を受け、今私は40代になり、50代も見えてきました。生きることさえ想像できなかったけれど、移植を受けたおかげで、生きているだけでなく元気に働いています。移植を受ける前の自分とは比較できない、全く違う生活をさせてもらっています」
「亡くなった方からの移植の場合、臓器提供されたドナーの方とそのご家族、臓器提供を受けた患者、それぞれプライバシーが守られているために直接連絡を取り合うことはできません。私に心臓を提供してくださった方がどなたなのかはわかりませんが、本当に感謝しています。この気持ちを手紙にして病院に託すことで、毎年ご家族様に思いを届けています」 「全く見知らぬ方から命を救っていただいて、今、大病を患うこともなく、日々元気に働くことができています。二人と同じく『ありがとう』以外に適切な言葉が見つかりません。大事にしていきたいと思うと同時に、死にかけで寝たきりの状態だった私が臓器提供を受けたことでこんなにも元気になれたということを、団体の活動を通じて、また個人としても発信していきたいと思っています」