被災地に「置き本」 小説、絵本、漫画… 仮設団地の集会所や公民館
●高齢者の引きこもり防止、子どもに笑顔 ●日本出版クラブ贈呈、七尾以北珠洲皮切り 国内の大手出版社や取次会社などで構成する日本出版クラブは23日までに、能登半島地震で被災した七尾市以北の5市町の公民館や仮設住宅団地の集会所などに書籍を贈る「能登の置き本」プロジェクトを始めた。読書を通じて住民が和み、子どもたちが夢を持つ時間を提供する。リクエストも参考に3カ月ごとに本を追加寄贈し、住民の引きこもり防止にもつなげる。 「能登の置き本」は、日本出版クラブの震災対策室(運営委員長・相賀昌宏小学館会長)が中心となって進める。子どもから大人までが楽しめるよう、加盟社から寄贈された小説や絵本、人気漫画、料理や家庭菜園、園芸などの教本、スポーツ関連書籍を贈る。 能登の地元書店からも贈呈用に多くの書籍を購入し、震災や水害からの経営再建を支援する。 ●地元書店支援にも プロジェクトは21日、珠洲市を皮切りに始まった。市教委と連携し、震災対策室のメンバーが市内10カ所の公民館や仮設住宅団地の集会所を巡って本棚を設置し、書籍35冊を並べた。書籍の3割は同市飯田町の「いろは書店」から購入した。 同市野々江町の直小運動場にある野々江町第2団地集会所では、住民が早速「報道写真集 大の里初優勝」(北國新聞社発刊)などを手にとって笑顔に。団地の26戸には6~91歳の52人が暮らしており、管理者である従二恵二さん(70)は「寒くなって外出機会が減る中、楽しい本があれば集会所に集まりやすくなる。特に高齢者の引きこもり防止につながる」と喜んだ。 「置き本」は今月中に能登町の6カ所、12月に七尾市内6カ所でも設置され、輪島市や穴水町でも準備が進められる。震災対策室事務局の三浦和也さん(小学館社長室ゼネラルマネージャー)は「地域で本を楽しんでもらう場を設けることで、住民が集い、日常生活を取り戻すきっかけになるとうれしい」と話した。