塩分が気になる「みそ汁」が、逆に「高血圧」を予防・改善するワケ…専門医がそのメカニズムを解説
肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘や脂肪肝まで、丸ごと改善してくれる、奇跡の料理……。いま、日本人のソウルフード“みそ汁”の健康効果が、再注目されています。 【写真】レシピ付き!やせみそ汁はこちら 「毎朝、具だくさんのみそ汁を最低一杯飲むだけで、肝機能は自然と回復し、代謝のよいやせる体が手に入ります」と語るのは、日本肝臓学会認定の肝臓専門医で、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅氏。本稿では、栗原氏の新刊『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁』(ワニブックス刊)より、実は“具だくさんのみそ汁”が高血圧の予防・改善に良いという新常識について、徹底解説します。 【第1回から読む】「1日1杯のみそ汁」で肝臓から脂肪が消えていく…肝臓専門医が明かす、驚愕の科学的事実
「みそ汁は血圧を下げる」という新常識
ひと昔前までは、「みそは塩分が高く、高血圧やむくみの原因となる」と考えられてきました。しかし、近年の研究で、みそ汁には血圧を下げる働きがあることがわかっています。 これは、みその中に、血圧上昇を抑える成分や、腎臓からの塩分排出を促す働きをする成分があるためと考えられますが、その1つにカリウムの存在があります。カリウムは、成人の体内に約200g含まれているミネラルの1つで、そのほとんどが細胞内に存在し、細胞外のナトリウムと連携をして、細胞の浸透圧や体液のpH(イオン濃度)などを調節しています。 また、体内のナトリウムが過剰になると、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑え、尿として排出を促す働きもあります。これにより、ナトリウムの過剰摂取で血圧が上昇するのを抑え、高血圧を予防・改善する効果が期待できます。 カリウムの1日の摂取目安量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、成人男性で3000mg以上、女性で2600mg以上とされています。みそ汁1杯(みそ15g)のカリウム量は、およそ65mg(米みそ・だし入りの場合)で、みそ自体には血圧を下げるほどのカリウム量は含まれていないのですが、みそ汁の具として相性のよい、じゃがいもやかぼちゃ、ほうれん草、玉ねぎといった野菜にはカリウムがたっぷりと含まれています。 そのため、具だくさんのみそ汁を毎日飲むことで、無理なくカリウムを摂取することができ、高血圧の予防・改善に効果が期待できるというわけです。 また、女性の悩みに多いむくみは、体内のナトリウムが過剰になったときに水分を 溜め込んでしまうことで起こります。カリウムを十分に摂ることで過剰なナトリウム が排出されると、むくみの予防にもつながります。