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『最強のふたり』の再来? 自閉症ケア施設と子どもたちを守る戦いを描く『スペシャルズ!』

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HARBOR BUSINESS Online

 9月11日より、『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』が公開されている。  本作はフランス国民の3人に1人が観たほどの大ヒットとなった『最強のふたり』(2011)のエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュの監督コンビの最新作。今作も、実在する2人の人物をモデルとした、ユーモアもたっぷりで、今を生きる私たちが勇気をもらえる素晴らしい映画に仕上がっていた。その魅力について解説していこう。

「他人のために生きる」人の尊さを描く

 自閉症児のケア施設「正義の声」の運営者ブリュノは朝から大忙しだった。電車の非常ベルを鳴らして鉄道警察に取り押さえられた青年の元へ駆けつけたり、頭突き防止のヘッドギアをつけた少年の一時外出の介助を頼まれたりもする。彼らを献身的にサポートし続けるブリュノだったが、施設に監査局の調査が入ることを告げられる。実際に「正義の声」は赤字経営かつ無認可で、叩かれれば山のように埃が出る状態だった。  重要なのは、施設の運営者のブリュノが「法律の順守より子どもたちの幸せを最優先にしていた」ことと、「他で見放された子どもたちを受け入れていた」事実だ。例えば、ブリュノは自閉症の青年の勤め先を探すために、1万通ものメールを送り続けた。重度の症状のため6か所の施設に受け入れを断られ続けた子どもでさえも、ブリュノは「何とかする」と口にして面倒を見ようとしていた。  その施設では、ドロップアウトした若者たちも支援員として働いていた。ブリュノの友人のマリクは、ドロップアウトした人たちを社会復帰させる団体を運営しており、彼らをたびたび「正義の声」に派遣していたのだ。重度の症状を持つ少年の介助を行うのは、遅刻ばかりでやる気のない新人の青年であったのだが、その2人の間にはいつしか信頼感も芽生えていく。何重にも、施設は社会からこぼれた人々の受け皿にもなっていた。  そうしたブリュノの献身的な行い、施設の社会的な貢献に関係なく、調査員からは客観的な状況が問題として扱われてしまう。例えば、「大半の支援員が無資格ではないか?」と詰め寄られるのだ。そんな調査員に対し、支援を受けている青年の母親はいかにブリュノが親身で熱心かを力説し、マリクは「資格があれば暴れる子どもを抑えられるのか」と鼻で笑い、緊急地域医療センターの医師は「3か月で退院しなければならない患者を無条件で受け入れてくれるのは、心と信念で働いているブリュノだけだ」とも証言する。  ブリュノの施設は、重度の症状の者こそ支援が必要であるのに、むしろ重度であればあるほどに受け入れを断られるという悪循環をも断ち切っていた。そうであっても、調査員たちはそれらの称賛の声に耳を貸さず、無秩序で怪しげな団体だと決めつけてしまう。  もっとも社会に必要なはずの「正義の声」が、その社会のルール上では問題視されてしまうという理不尽と矛盾。それでも、ただただ子どもたちの幸せを願う運営者と支援員、彼らを称賛する周りの人々……。映画から浮かび上がるのは、単純な損得では到底推し量れない、「他人のために生きる」人々の素晴らしさと尊さだ。彼らの存在を知るということだけでも、本作はとてつもなく大きな価値がある。

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