手作りの「漬物」が消える? 悩める生産者「許可まで取ってやらない」 伝統の味と文化を守るには【#みんなのギモン】
■実際に許可申請しているのは?
近野解説委員 「実際に許可を申請している方はどれくらいなのか。例えば福岡県が管轄する地域なら、漬物の製造業として届け出がある3652件のうち、4月15日時点で許可を取得したのは、たった412件です。今までと比べれば、10分の1ほどになる可能性があります」 鈴江アナウンサー 「それは、基準を満たしていなくて許可がなかなか下りないということですかね?」 近野解説委員 「そもそも許可を求めるのにハードルが高いんじゃないかという見方が強いですね。お金もかかりますし」
■3槽のシンクを新調、改修費用は?
近野解説委員 「実際に設備を新しくするのにどれだけ費用がかかるのでしょうか」 「青森で手作りの漬物を出荷する米村幸弘さんは、3槽のシンクを新調しました。改修にかかる費用は合計で約150万円だそうです。米村さんの場合は自分で設備工事と改修をしたそうですが、それができる人ばかりではもちろんありません」
■秋田県と福岡県は生産者に補助
近野解説委員 「では、どうしたらいいのか。自治体が支援に乗り出した事例があります」 「秋田のいぶりがっこは、伝統の味が法改正によって消えてしまうのではないかと危ぶまれていました。そこで秋田県は法改正翌年の2022年から、生産者1人につき最大1000万円の補助を実施。いぶりがっこ以外の漬物も対象で、これまで134件の申請がありました」 森アナウンサー 「こういった漬物はもちろん食品の1つではありますが、食文化でもあって、海外からも評価されている部分もあるわけじゃないですか。こういった補助があるというのは本当にありがたいでしょうね」 近野解説委員 「食文化はすごく大事なワードです。補助を始めた理由について秋田県は、農家の所得を維持することも挙げていますが、秋田の文化を守ることも挙げています」 「高菜漬けが有名な福岡県では、4月末からの開始を予定しているのが、共同設備への補助金です。農家が数人でグループを作り、共同で使える施設を用意。その整備にかかる費用を1グループあたり最大150万円補助しようというものです」 「共同でということになると負担は軽くなるので、漬物を作って売ることを諦めずに済む1つの手段になるかもしれません」