手作りの「漬物」が消える? 悩める生産者「許可まで取ってやらない」 伝統の味と文化を守るには【#みんなのギモン】
■専用の調理場や床面の排水溝も必要に
近野解説委員 「この改正で生産者の皆さんを悩ませているのが『設備を満たす』という点です。自宅の台所と分けて専用の調理場が必要で、手洗い設備の水道の栓はハンドル式はダメ。手や指の汚れがつかないようなレバー式や、ひじや足で押せるもの、センサー式が求められます」 「温度計が付いた冷蔵庫も必要で、床面や内壁は不浸透性、つまり水洗いが容易にできて排水溝もしっかり床に備えてあることが求められます」 忽滑谷アナウンサー 「例えば農家さんなど、これまでこぢんまり作っていた方にとっては結構ハードルが高いですし、全部そろえるとなるとお金もかかりますよね」 近野解説委員 「そうですよね。家の台所や納屋の片隅などで細々とやっていた方にとっては、新たにお金をかける必要が出てきました。これらが義務とされたのが2021年6月で、3年間の猶予期間が設けられました。その期限が5月31日に迫っています」
■産直の漬物売り場は半分の面積に
近野解説委員 「いよいよ、ということで影響が広がっています。青森・藤崎町の産直施設『ふじさき食彩テラス』では、地元の生産者それぞれの味が楽しめる手作りの漬物が並んでいます。ただ、6月以降に売り場の面積は半分ほどになる見通しです」 ◇ ふじさきファーマーズLABO 松丸良平代表取締役 「年齢の高い方も多いので、ある意味これをきっかけに、もう(出荷を)やめようかなという人も…」
■40年以上製造「どうにかして許可を」
福岡・糸島市。80代の樗木(ちしゃき)タツエさんは40年以上、高菜漬けやたくあんなどの漬物を作り続けています。 樗木さん 「どうして許可まで取らなくてはいけないのか。もう(漬物販売を)やめる人もいる。『許可まで取ってやらない』と言って。“手作り”という伝統ですよね、みそにしても漬物にしても。いろんな知恵で加工してきたことを一部だけど引き継いできている」 「どうにかして(許可を)取りにいかなければいけないと思っている」 刈川キャスター 「私も福岡出身なので、故郷の味をつないできてくださった方がやめるか葛藤しているのはすごく心細いです。期限は5月31日ということで、どれくらいの方が(許可申請に)進んでいるんですか?」