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eスポーツプレーヤー×商社マンの“デュアルキャリア”とは? 東京V「ウイイレ」YUKIの新時代の働き方に迫る

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ゲキサカ

 東京ヴェルディの「eスポーツ ウイニングイレブン」部門にプロ選手として契約したYUKI。25歳の青年は高校以降はウイイレから離れていたが、19年初頭にプレーを再開。すると、その技術は錆びを知らず、19年秋のオフライン大会「eスポーツMax GAMING FESTIVAL 2019 Autumn」で優勝を果たす。20年6月には東京Veスポーツとの異例のスピード契約に至った。  YUKIが異色なのは、そのスピード感だけではない。eスポーツプレーヤーの顔を持ちながら、以前から勤めていた商社にも継続して勤務。営業として得意先回りをしながら、仕事後にウイイレに励んでいる。目指すのは、東京Veスポーツが理想とする“デュアルキャリア”の実現。働き方が大きく変わるであろうこれからの時代に向け、新たな働き方を実践するYUKIに迫った。 ――プロを意識したのはいつ頃だったんでしょうか。 「昨年秋のオフライン大会で優勝した後に、東京Vがプレーヤーを数名集めたことがありまして、そこで接点が生まれました。19年の11月頃だったと思います。その交流会に参加したときはそこまで強い思いはなかったですね。ウイイレ2020を最初からプレーしていて、myClubというモードで国内4位の成績を収めていく中で自信もついていきました。Youtubeの活動も始めて、もっと色々な場で自分を試す機会を作りたいなと、興味を持ち始めたっていう感じですね」 ――今はお仕事もされているんですよね。 「社会人4年目で半導体の商社に勤めています。平たく言うと営業職ですね。外回りで得意先に伺って、新しい商品の紹介をするのがメインです。平日出勤の土日休みで、今はテレワークなんですけど、普段は8時45分に出勤して、外回りに行きます。会社ですることがなければ19時ごろに直帰。内勤のときでも家に着くのは19時ごろですね」 ――ウイイレはその後に? 「19時に帰宅してごはんを食べて、20時から配信しながらプレーする。ウイイレが好きなので、プレーしている時間とか、Youtubeを配信している時間は楽しくやれている。楽しいと思えていることがすべてで、大変だとは思わないですね」 ――東京Veスポーツからのオファーに迷いはなかったんですか? 「半導体の商社では、ゲーミングモニターに使われる小さな部品とか、プレイステーション4に入っている小さな部品とか、そういうものも取り扱っています。ウイニングイレブンの競技シーンに限らず、eスポーツ全体に貢献できるような活動をしていきたいと思っていたので、その中で個人的な活動というよりも、東京ヴェルディというブランドももちろんですし、色々な企業とタイアップしていると聞いたので、お互いに相乗効果を狙えるんじゃないかという考えもあって。迷いはなかったですね」 ――その考えが、会社を辞めることなく両方に取り組む“デュアルキャリア”。 「副業と捉えている方もいると思うんですけど、全然そういう意識はなくて、どっちかというと互いをうまく交わらせて、いい方向に行くもの、と考えています」 ――具体的にどのような点がデュアル(二重)なのでしょうか。 「自分の勤めている会社としても、eスポーツの成長、市場の拡大はすごくチャンスと捉えています。そこのとっかかりのひとつとして、自分はeスポーツの第一線に立っているという思いもあって、社内ではこういう活動をしているとけっこう伝えていまして。なので、たとえば東京Vの名前を借りて、うちの会社が露出する機会を作れないか、という話もしていますし、一方で、仮の話ですけど、うちの会社が東京Vのスポンサーになって、もっと露出していく機会を作っていただくというのもひとつだと思っています。お互いにとってプラスになる動きというのが、自分が目指しているもの。東京Vにとっても、うちの会社にとっても、プラスの動きになれるのがデュアルキャリアの目的かなって思っています」 ――会社の反応はどうでしたか。 「休日はウイニングイレブンっていうゲームをしていますっていう話から、サッカーのゲームやってるんだ、っていう反応くらいだったんです。でも、そこから順位も上がってきまして…と話していて。実は今、東京Vに所属しているんですよって」 ――事後報告ですか。 「ほぼ並行で会社には話をしていましたね。今ではすごく応援してくださっています。ただ、eスポーツ=ゲームと、いいイメージを持っていない方も少なくはないです。でも背中を押してくださる方が多いと思っています。平日のeスポーツの仕事も、有休を取らせていただきたいとお話ししたら、それは自由に使っていいよ笑、と」 ――現在、新型コロナ禍により生活が大きく変わろうとしています。 「コロナを前向きに…というのはもちろん語弊があるんですが、自分にとってはこの在宅の期間はチャンスと思っていました。在宅勤務になり始めてから、毎日編集した動画を投稿し始めた形もありまして、そこから登録者も増えています。個人的にいえば、やりやすさや時間の確保ができました。あとは、メディアにeスポーツが取り上げられることが増えたので、そういった意味ではポジティブな流れではあるのかな、と」 ――サラリーマンか、eスポーツプレーヤーか、どちらかの選択はなかったんですか? 「大学までずっとゲームをやって、社会人になるタイミングで仕事との両立が難しいと競技シーンから引退するとか、競技に興味がなくなってゲームから離れる人はけっこういると思うんです。もちろんそれもひとつの考えですが、それもあって上の年代の方はゲームとの両立はできないというイメージを持っているのかなって。仕事をしながらでも第一線で活躍できるっていうことを伝えられるのが、自分のひとつの役割と思っています。どっちか一本で、という考えはなかったですね」 ――めちゃくちゃ忙しくなりそうですが…。 「どちらにとってもクオリティの部分で支障が出ると良くないので、仕事の時間は本当にまったくeスポーツのことは考えずに、仕事だけ集中してやっています。逆に、自分の仕事が終わったと思えば、仕事用の携帯が鳴っても気づかないようにカバンにしまっています。そこからはウイニングイレブンに集中できるようにしたりとか、オンオフの切り替えはしっかり意識していますね」 ――両方やっていることでメリットはありますか。 「いまの会社が各担当に裁量を持たせていて、自由にやらせていただいています。自分はそういった環境に飛び込みたくて、この会社に転職した形なんですけど、常日頃から考えて行動しているのもあって、Youtubeの投稿とか動画作りにしても、すごく考えて話したりとか、営業っぽいしゃべり方や声色とかもそうですし、実際に働いている仕事がeスポーツに還元できているっていうのはありますね。そっちの方向が多いです」 ――仕事の幅も広がった。 「いまの会社にしても、東京Vに所属する前は、eスポーツをビジネスとしては正直考えていなかったんです。でも、いまはモニターやテレビとか医療用のものを取り扱っているお客様に対して、ゲーミングモニターは興味ないですか、と話の展開もできますね。幅は非常に広がっています」 ――将来のことは考えていますか。 「eスポーツ競技者として、お金をもらえて食べている人もいるとは思います。だけど60歳、70歳になるまで、仕事もやれていて後々のことを考えられるなら、さらにいいのかなと思います。個人的には、ほかの仕事をしていたほうが考え方も身に着くと思うので、それはeスポーツの色んな場面でも活きるので、自分としてはおすすめしたいです」 ――“デュアルキャリア”とトッププレーヤーになることは両立できますか? 「トッププレーヤーというと、自分自身なりたいという思いはあります。eスポーツに知見がない会社の人に対して、eスポーツっていう分野をアピールする一番の方法って、自分が成績を残していることだと思うんです。それが世界一、日本一とか何でもいいんですけど、そこから食いつきが生まれてくるので。『うちの会社の子はeスポーツの日本一』って、それはもうキャッチーなフレーズですよね。そういう意味で、トッププレーヤーはほしい称号ではあります。両方やって両方に還元。どっちつかずという見方もありますが、どっちもトップを目指したいですね」 ――“デュアルキャリア”の実現に向けて、今後の目標は。 「東京Vのユニフォームにうちの会社の名前を入れて、スポンサーという形になれば個人的には一番いいですね。会社としても、eスポーツの市場で第一線として一番シェアが高い企業になっていけるように、自分も色々働きかけていきたいなって思っています」

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