気遣いは得意なのにコミュニケーション力が低い「惜しい人」の特徴
Zoomなどを使ったオンラインコミュニケーションが格段に増えた一方、「対面の時のように会議が進まない」「うまくプレゼンできない」「営業成績が落ちてしまった……」など、課題を感じる声もあります。 この記事の写真を見る 書籍『オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』の著者でコミュニケーション・人材育成講師の桑野麻衣氏は、「オンラインコミュニケーションの難しさには、日本特有の文化が影響しているかもしれません」と指摘しています。オンラインでもスムーズにコミュニケーションをとるために必要な心構えとは?
コミュニケーションとは「ココロ」を「カタチ」にすること
「コミュニケーション」という言葉の定義をはじめにしておきましょう。定義は人それぞれですが、私はコミュニケーションとは「ココロ」を「カタチ」にすることだと定義しています。コミュニケーション力というのは、「ココロをカタチにする力」であり、「表現力」とも言えます。決して生まれつきコミュニケーション力の高低が決まっているのではなく、誰もがいつからでも磨くことのできるスキルなのです。 「表現すること」はオンラインかオフラインかにかかわらず大切ですが、オンラインでは特に強く「表現すること」が求められます。対面でのコミュニケーションでは五感を使って表現できますが、オンライン上では基本的に視覚と聴覚の二感(以下)に限られた表現になります。そのため、対面であれば相手にスムーズに伝わるものも、オンラインになるとどうしても伝わりにくくなってしまうのです。 私たち日本人が得意とする、「察すること」や「空気を読むこと」がオンラインでは困難になるため、普段は持ってしまいがちな「多くを語らずとも、相手に察してほしい」という気持ちをいったん捨てる必要があるでしょう。ぜひ、これを機に「ココロ」を「カタチ」にでき、「表現できる」ビジネスパーソンが増えると良いなと個人的には思っています。
行動、表情、言葉遣い…「カタチ」にしないと伝わらない
ここでは、「ココロ」を「カタチ」にするということがどんなことか、もう少し掘り下げてみましょう。 人は誰もが感情を持ち、目の前の相手に対して感謝や申し訳ないという「ココロ」があります。しかし、私たち日本人の中にはそれを「カタチ」として表現することが苦手な人が多いのです。感謝しているのに笑顔ではなく無表情であったり、申し訳ないと思っているのにぶっきらぼうに「あ、すいません」と軽く頭を下げるだけであったり。あなたもそのような態度を他人に取られた経験はないでしょうか。 多くの場合、表情や話し方、言葉遣いといった「カタチ」が表現されていなければ、そもそも「ココロ」がないとみなされてしまいます。これは、普段の職場で考えるとよくわかるでしょう。やる気があるという「ココロ」をアピールすべきなのに、いつも遅刻をして、1日中ぼーっとしていて、誰よりも早く帰る社員がいたとしましょう。やる気がありそうな「カタチ」がどこにも表現されていなければ、「ココロ」そのものもないものとされてしまいますよね。コミュニケーションも同じなのです。