コロナ禍がラグジュアリー市場にもたらした進化と課題。デジタルはメゾンを救う?
パンデミックが始まって以来、他の多くの業界と同様、ファッション業界も緊張状態が続いている。店が閉まり、ショーがキャンセルされ、スケジュールが乱れることが日常化した。 制限解除が段階的に始まったばかりだというのに、フランスでは第三波の話がすでに議題に上がり、再開したばかりの小売店は数週間後に再び閉鎖する可能性も出てきた。オートクチュール・ファッション・ウィークは、本当にカレンダー通りの2021年1月に開催されるのだろうか? 危機の最中に存在し続けるためには、創造性と変革がキーワードとなる。
強制的にアップデートされたラグジュアリー業界
世界中のいくつかの国で繰り返しロックダウンが行われ、閉店が義務付けられているため、デジタルはブランドと消費者の間の唯一のコミュニケーション手段としての地位を確立している。いくつかのブランドは、顧客のニーズにすぐに対応するため、革新的な購入体験を提供した。例えば、「グッチ」は顧客がアドバイザーとリアルタイムでチャットできるバーチャル・ショッピングサービスGucci Liveを開始。「ドルチェ&ガッバーナ」は、2020年9月にバーチャル・ショッピングを専門とするサイト、Virtual Boutique Experienceを発表した。世界中にあるいくつかの旗艦店を実際に訪れているかのような体験ができる。 ショッピング体験がデジタルに移行し、やがてコレクションの発表方法もデジタル化された。2020年 7月6日~8日まで、オートクチュール・ファッション連盟のサイトでは、歴史上初の100%デジタルファッション・ウィークを開催。合計33のブランドが、2020-21年秋冬クチュール・コレクションをショートフィルムとフォトシリーズで発表した。 さらに驚くべきことに、ラグジュアリーブランドはビデオゲームに新しい遊び場を見つけたようだ。 2020年5月初旬、「ヴァレンティノ」はニンテンドーのゲーム「あつまれ どうぶつの森」の中で2つのバーチャル・コレクションを発表した。そこでは、2020年春夏と秋冬のプレコレクションに触発された20のルックを披露。 「バレンシアガ」のアーティスティック・ディレクターであるデムナ・ヴァザリアもビデオゲームに夢中なようだ。2020年12月6日、彼はすべての人が利用できる新しいビデオゲーム「Afterworld:The Age of Tomorrow」を発表した。アバターを選択した後、ユーザーは宇宙空間に没頭できる内容になっている。ゲームを進めれば進めるほど、ブランドの新しいコレクションのフューチャリスティックなルックを発見できる仕組みだ。そこで彼は、中世の金属製の鎧、NASAのロゴが入った青い爆撃機のジャケット、銀の騎士のブーツ、アシンメトリーなスパンコールのドレスを発表した。