ロシアのプーチン大統領＝ロイター

　ロシアのプーチン大統領は２２日、国防省や軍事企業幹部らとの会議で、新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」について「安全保障上の脅威に応じて実験を継続する」と述べ、再び攻撃で使用する可能性を示した。ミサイルは２１日にウクライナ東部ドニプロに発射された。量産の考えにも言及し、複数の短距離・中距離兵器を開発中だと主張した。

２１日、ウクライナ東部ドニプロの、ロシアによるミサイル攻撃を受けた現場で活動する消防士＝ロイター

　プーチン氏は、２１日の発射について「実験は成功した」と強調し、「こうした兵器を持つ国はなく、迎撃する手段もない」と技術力の高さを誇示した。出席した露軍幹部は「欧州全域の標的を攻撃できる」と強調し、ウクライナ支援を続ける欧州各国をけん制した。

　一方、ウクライナ国防省情報総局は２２日、ミサイルの分析結果を公表した。露南部アストラハン州から約１０００キロ・メートル離れたウクライナ東部ドニプロまで１５分で飛行。最大速度はマッハ１１（時速１万３０００キロ・メートル）以上に達したという。

　同局によれば、ミサイルは六つの弾頭それぞれに六つの子爆弾を搭載。ミサイルシステムは「ケドル」と呼ばれ、昨年１０月と今年６月にアストラハン州で実験が行われたと指摘した。

　ケドルは、ロシアが２０１８年から１９年頃、多弾頭型大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）「ヤルス」を中距離型として更新するために開発されたとも分析した。最大で１０発保有している可能性があるという。

　こうした分析を踏まえ、米国の政策研究機関「戦争研究所」は２２日、ロシアが新型と強調する「オレシュニク」について「根本的に新しい能力を示すものではない」と評価した。プーチン氏らの発言には、欧米諸国の不安をあおる狙いがあるとした。