オタク文化への偏見覆す芸術性に信念 コスプレ作品表現の場を創り出す挑戦
背景までしっかり見せるのがHEBU流の作品
HEBUさんの作品には、ある特徴がある。それは、被写界深度(ピントの合う前後の範囲)が深い写真が多いということだ。使っているカメラはキヤノンEOS-1DxとEOS 6D MarkII。好んで使うレンズは24-70ミリで、標準ズームと呼ばれるものだ。 「単焦点レンズのほうが背景がボケるのでポートレート向きと言われますが、自分はまったく使いません。背景をボカすのが好きじゃないんです。どこで撮っているのかわからないような写真よりは、背景もしっかり写して画作りしたい。背景の選択も作品のひとつやと思ってます」 デザイン系の仕事が作品に与える影響は大きいという。 「仕事で見た写真やイラストで、カッコ良かった構図や色味というのは、コスプレ撮影にもフィードバックされていると思います。いわゆるセオリー通りという撮り方や画作りは好きじゃない。人と違ったことがしたいと常に考えています」
HEBUさんのコスプレ撮影は、臨機応変を旨としている。 「画像の後処理は現場単位で判断するようにしています。基本、後処理に頼るのは良しとしないのですが、シチュエーション次第では合成したりもしますね」 「コスプレ撮影を始めたころは、周りからの偏見の目は多少なりともありました。作品のクオリティーにこだわることで、そういった偏見をなくしたいという気持ちがありますね。写真としての質が高ければ、コスプレ写真もひとつのジャンルとして認められると思ってます。そして、作品に熱い気持ちを持っているコスプレイヤーさんを応援したいという思いもあって、コスプレをアートに昇華できる“場”を創っていきたいんです」 どの世界でも、マイノリティーは常に偏見の目で見られることが多い。そんな評価を、作品のクオリティーで高めていこうという熱い気持ちが、HEBUさんを動かす力となっているのだ。 (取材・文・写真:水澤 敬)