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全国民PCR検査、今すべき?

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Japan In-depth

■ 大規模検査は必要か? 論稿の肝(きも)は、自粛による経済の停滞を一刻も早く止め、再開させるために、大規模検査により陰性である人を見つけ、できるだけ早く仕事に復帰させる。そのために複数回の検査をやる、ということだと理解した。 経済再開に全く異を唱えるものではない。過度の自粛が経済にとてつもないダメージを与えるのは火を見るよりも明らかだ。 一方で、大規模検査が経済再開の鍵か、と聞かれると、前の記事にも書いたように、首をかしげざるを得ない。 その理由だが、まずPCR検査の感度が約30%~70%と低いことが上げられる。検体の採取は、綿棒で鼻咽頭の粘液や細胞を採取する方法が一般的だが、その時、患者が咳やくしゃみをする可能性が高い。感染リスクを考えると、医療従事者が時間をかけて丁寧に検体を取ることが難しいという理由もあると思う。 ここでPCR検査の診断特性を、感度(感染している人に検査をして、正確に陽性という結果が得られる割合)70%、特異度(感染していない人に検査をして、正確に陰性という結果が得られる割合)99.9%として計算してみる。 人口1,395万人の東京都で感染率1%の場合、偽陰性者数(感染者のうち検査結果が陰性となる人数)は41,850人、擬陽性者数(非感染者のうち検査結果が陽性となる人数)は13,810人となる。(注1:擬陽性と偽陽性について)

陰性との診断が出た1,383万人超の人たちは、当然のことながら、安心して外出するであろう。しかし、その中には、4万人超の感染者(偽陰性者)が存在する。となると、他の人に感染するリスクは当然高まることになる。感染率1%で4万人だから、感染率が上がれば当然偽陰性者の数は跳ね上がる。 そもそも自粛下で国民が家に籠もっている時に、全国民対象に検査をやるとなると、病院や検査センターに出向くことになり、三密の状態を作ることになってしまう。これは本末転倒ではないのか? もう一つの問題は、検査で陽性と診断された111,460人中、理論上非感染者が13,810人(陽性者の12%)いて、強制隔離の憂き目をみることになるということだ。 論稿では擬陽性の人は再検査することになっているので、一旦ホテルや施設に隔離されても、非感染者であることがわかれば、家に戻れるわけだが、2回目も擬陽性なら3回目を待つしか無い。仮に2回目以降、家に戻れたとして、直ぐ職場に戻れるとは限らない。自宅隔離だとしても非感染者とわかるまで不安なことにはかわりない。こうなることがわかっていて、積極的に検査を受けたい、と思う国民がどれだけいるのだろうか?  またこれは理論値で、感度、特異度、感染率の値によって変わる。今回は感度70%、特異度99.9%、感染率1%と偽陽性の割合が低く出るような値を仮定したが、これを感度70%、特異度99%、感染率0.1%に変えると、12%だった偽陽性者の割合が93%(139,361人!)にまで上昇する。

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