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かほくの元縫製会社、コスプレで再生 撮影スタジオに 技術生かし衣装も制作

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北國新聞社

 「もう工場をつぶすしか手はないのか」。5年前、かほく市で家族経営の縫製会社が倒産し、一家の誰もがそう思っていた。そんな廃工場が今、コスプレ写真専門のスタジオとして人気を集めている。「機屋(はたや)」ならではの技術もしっかり生かし、衣装制作も手掛ける。時代に乗った業態転換は軌道に乗り、顧客は全国に広がっている。

 かほく市木津の住宅街に「ナミカゼスタヂオ」はある。開設は倒産翌年の2016年。管理する南直子さん(58)によると、工場は父が50数年前に創業し、最盛期には20人が働いていた。倒産後の工場の活用法を探る中、三男の英(えい)さん(31)がアイデアを提案した。自身もコスプレに関心があり、需要の伸びを予想していた。

 木造の工場は建設から半世紀が過ぎ、くすんだ壁、天井に敷かれた織機用のレールはそのままにした。和室は戦闘シーン向けに、破れた障子戸や血のりを散らした壁で仕上げた。廃墟を思わせる雰囲気はうけた。スタジオに加え、徒歩圏内の海辺での撮影も承り、顧客がどんどん増えた。

 北陸を中心に全国からコスプレイヤーやカメラマンが訪れる。使用料は6時間で1人平日2500円、休日3千円。平日でも週に2~3組、多い時は5組の予約が入る。40人単位で貸し切りの予約が入ることもあった。

 「元々、婦人服や下着を作っていたので、コスプレの衣装を手掛ける際は、軽くカルチャーショックでした」と南さん。当初、コスプレ姿の客を見た近所の人から「ありゃー」と驚かれたが、今は住民らの理解も得て、なじんでいるそうだ。

 新型コロナウイルスの影響で、4~6月の月間売り上げは普段の10%にも満たなかったが、現在は予約が戻り始めている。南さんは「お客さんが楽しそうに撮影しているのを見ると、衣装を縫うこちらも楽しくなるんです」と話した。

北國新聞社