大谷翔平もビックリ!? 「野球で甲子園、水泳で五輪」を目指す“二刀流”高校1年生がいた!…受け入れる学校「私たちにとっても挑戦」
「二兎を追う者は一兎をも得ず」 誰もが知ることわざがあるように、古くから日本では「1つの道を極める」ことが重要とされてきた。 【写真】190センチ光永翔音(15歳)の力強いスイング&華麗なバタフライ ただ、時に天は二物を与える――野球と水泳、まったく異なる2つのスポーツで稀有な才能を与えられた少年が選んだのは、前代未聞の「二兎を追う」道だった。 光永翔音(みつなが・しょうおん)、この春から高校に入学する15歳だ。顔つきはまだあどけないが、身長190センチ・76キロの恵まれた体格は遠くから眺めていてもひと際目立つ存在である。 監督や仲間、母親にまでも名前の響きから「ショーン」と呼ばれるその少年は、野球と水泳の双方で誰もが羨むような結果を残してきた。
強豪・京葉ボーイズの3番、水泳では日本記録
小学1年から始めた野球は、小学6年時には千葉ロッテマリーンズジュニアに選出され、プロ野球選手と同じユニフォームを纏った。中学では全国優勝3回の強豪・京葉ボーイズで主に3番を任された。 現役時代にプレーしたNTT関東では小笠原道大(日本ハム一軍ヘッド兼打撃コーチ)と同部屋で過ごし、NTT東日本のコーチ時代には清田育宏(ロッテ)らを指導した京葉ボーイズ・関口勝己監督は「水泳をやっている影響か肩甲骨周りが柔らかいので打撃も柔らかいんです」と光永を高く評する。実際に打撃を見ても、長身ながら巧みにバットコントロールをしているのが印象的だ。そんな逸材を各校が放っておくわけがなく、誰もが知る強豪校も声をかけていた。 一方で、物心ついた頃から始めたという水泳でも小学生時代から台頭。テレビ番組では“スーパー小学生”として瀬戸大也や古賀淳也と対戦した経験もある。中学でもダンロップスポーツクラブ北松戸の白井俊臣コーチのもとで着実に成長を続け、今年2月に行われた大会の50mバタフライでは、「24秒41」という男子中学生日本新記録を樹立。国内トップ選手が集い、現在行われている日本選手権にも新高校1年生で出場する「未来の五輪選手候補」と呼ぶに値する存在なのだ。 野球と水泳、どちらを続けるのか。その選択に周囲がやきもきする中、光永が選んだ答えは「両立」だった。 欧米などでは季節によって競技を変えることはあるが、野球と水泳の「二刀流」でここまでトップレベルを極めようとするケースはあまり聞かない。だが、光永はシーズン通してどちらの練習も行うべく、「野球で甲子園、水泳で五輪」を目指せる稀有な環境と、前代未聞の挑戦を受け入れてくれる日本大学豊山高校へ入学した。 朴訥とインタビューに答える光永だが、「野球と水泳、どちらが好きと聞かれたら何と答える?」と何度も答えてきただろう質問を投げれば「答えられないから今こうしています」と、間髪入れずに話す。「2つやってもいいんだという第一人者になりたいです」と話す口調には熱がこもる。 日大豊山の硬式野球部は2000年夏に甲子園初出場を果たし、近年も東東京大会での上位進出が珍しくない。そして水泳部は全国有数の超強豪だ。スイミングクラブでの指導が主流となった中で、「部活動」として練習するチームでは日本一と言って過言ではなく、インターハイは総合優勝10回で現在3連覇中。先日東京五輪の日本代表入りを果たし、“高校生オリンピアン”と話題を集めた柳本幸之介らが在籍し、過去にも多くのトップ選手を輩出している。