八嶋智人 いつもご機嫌で共演者とも打ち解け、携帯の連絡先は4千件 楽しむことを徹底する理由
この人が出ていたら絶対に面白いと思わせる俳優、それが八嶋智人ではないか。ドラマや映画、そして、バラエティー番組までも。どんな現場でもご機嫌で、共演者ともすぐに打ち解け仲良くなる。仲間と立ち上げた「カムカムミニキーナ」の場は、特に大事に思う。12月5日からはカムカムの新作「鶴人」が上演される。自ら裏方仕事もやりながら、いい芝居のために努力を惜しまない。 【写真】劇団カムカムミニキーナの稽古場では小道具の修繕にも率先して動く * * * ここ最近で八嶋智人(やしまのりと・54)が大きく話題になったのは、今年1月から放送されたドラマ「不適切にもほどがある!」に本人役として出演したことだろう。放送の第3話、栗田(山本耕史)が担当する情報番組のメインMCにスキャンダルが発覚する。急遽降板することになり、代打のMCを探さなくてはならなくなった。そこで栗田の後輩でアシスタント・プロデューサーの渚(なぎさ・(仲里依紗))が白羽の矢を立てたのが、劇団「カムカムミニキーナ」の公演の告知のためにテレビ局に来ていた八嶋。突然のオファーにもかかわらず、以前、海外ロケのときに飛行機をビジネスクラスにアップグレードしてくれた渚に恩義を感じていた八嶋は二つ返事で代役を引き受ける。ぶっつけ本番、「ヤシマンこと八嶋智人でございますー」と喜々としてカメラの前に立ち、「最終的に何とかする男だよ、八嶋は」と自信をチラつかせる姿は、もう本人なのか役なのか見分けがつかない。アドリブでやってるんじゃないかと疑う視聴者もいるほどで、SNSでは「#八嶋無双」「#八嶋智人」がトレンド入り。結局、当初の予定より出演場面が増え、5話にわたって登場した。 放送を見た長年の友人で俳優の高橋克実(63)は感嘆する。 「見事でした。八嶋くんが今までいろいろやってきたことの集大成に近い。昔から芝居は達者で、ふざけた役から真剣な役までなんでもいける。しゃべりもうまい。彼は面白くするセンスは抜群ですからね。緻密に計算した上で、僕が思いもつかないことを入れてくる。現場に行ったら常に臨戦態勢で、どこかに面白いことを入れていこうとする姿勢を持っているんです」 ■批判は目に入らない どこで何をしても楽しめる ドラマ、演劇、トーク番組、バラエティーと八嶋ほど間口の広い俳優もめずらしい。「ふてほど」のセリフを借りれば、「八嶋がいれば何とかなる」と言われる存在だからだろう。俳優としての演技力はもちろん、バラエティーでは軽妙なトークで盛り上げ、司会をやらせれば完璧に場を仕切る。 人懐っこい性格で、共演者に話しかけ、連絡先を交換する。携帯に登録されているのは4千件。誰かの誕生日には「おめでとう」のメッセージをまめまめしく送り、俳優仲間が還暦を迎えれば、幹事を買って出てお祝いの場を設ける。でもそれは全部自分が楽しいからだ。 「みんなが楽しそうにしていると、自分が楽にその場にいられるんですよ」