今週に最後の関門…角田裕毅は7年ぶりの日本人F1ドライバーとなれるのか?
このテストには、レッドブルが2021年に角田をアルファタウリからデビューさせようという強い思いが込められている。 現在、F1直下のカテゴリーであるFIA-F2選手権(F2)に参戦している角田は、最終戦を残してランキング5位につけている。 F1ドライバーになるためには、国際自動車連盟(FIA)が発給する「スーパーライセンス」を取得する必要がある。その条件の中で、角田がまだ満たしていないのが、「スーパーライセンスポイントを直近3年間で40ポイント以上獲得すること」というものだ。 このスーパーライセンスポイントは、FIAが定めている国内外さまざまなカテゴリーのレースで年間成績上位に入る必要があり、角田は2018年にFIA-F4でチャンピオン(12ポイント)、2019年のFIA-F3でランキング9位(2ポイント)の成績を納め、合計14ポイントを保持している。 現在F2でランキング5位の角田は、このままだと今年は20ポイントの加算にとどまり、3年間の合計で34ポイントと「40ポイント以上獲得すること」という条件をクリアできない。 しかし、FIAは世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、スーパーライセンスの発行資格と条件を一部見直した。それはスーパーライセンスポイントの有効期間を直近の3年間から、直近の4年間に延長。その4年間の中で多く獲得した3年間のポイント数を対象とするというものだ。 これを角田に当てはめると、有効期間は2017年まで遡ることができ、2017年は国内で参戦していたFIA-F4でランキング3位となり、7ポイントを獲得していた。そのため、2019年のFIA-F3でランキング9位(2ポイント)の代わりに、この2017年の7ポイントを加算することができ、現時点で角田のスーパーライセンスポイントは39点となる(2017年7ポイント+2018年12ポイント+2020年20ポイント)。 それでも、このままでは。まだ1点足りない。そこで重要になるのが11月4日に行われたイタリア・イモラでのプライベートテストだ。 ここで300km以上の距離をF1マシンで走行すると、F1グランプリの週末の金曜日のフリー走行でF1ドライバーたちに混じってF1マシンを走行することができる「フライデースーパーライセンス」を取得できる。そして、実際に金曜日のフリー走行に出場して、100km以上の距離をペナルティポイントが科せられるような違反行為をせずに無事に走行すると、スーパーライセンスポイントを1ポイント獲得することができる。 そう、アルファタウリがイタリア・イモラでプライベートテストを実施したのは、F2で角田が5位のままでもスーパーライセンスポイントを合計40ポイントにするため。つまり、レッドブルの育成プログラムとしては角田のF1デビューは決定事項であり、あとは角田が5位以上でF2選手権を終えるだけなのだ。