執念の勝ち点1、自力連覇へ生きる“経験” 神戸DF酒井高徳「諦めない、緩ませない、最後まで狙いにいく」
30日に行われた明治安田J1リーグ第37節で、柏レイソルと対戦したヴィッセル神戸は90+10分の武藤嘉紀の得点で追いつき、1-1のドローで勝ち点1を獲得。首位で最終節を迎えることになった。 フル出場した神戸DF酒井高徳は右サイドバックで先発。柏MFマテウス・サヴィオらとマッチアップしつつ、後半途中からは左サイドバックでもプレーした。「柏さんの気持ちの出た部分に自分たちが圧倒されてしまったということは、見てわかる通りだったと思います」と苦戦を認め、「自分たちがやりたいようなサッカーをやられた」という前半を振り返る。 後半に向けてチームで修正を図ったというが、「総じてすごく大事だったのは、(失点を)1でしっかり抑えたところ。もちろんチャンスを作られたりはありましたけど、しっかり1で守ることが自分たちの勝ち、あるいは同点に繋げられる大事なキーポイントになってくると話していた」と、開始5分で先制点を奪われ、決定機を作られたところもあったが、これが貴重な勝ち点1につながったと説く。 また、前半はCKもなかなか取れないほど、柏ゴールから遠ざかったが、酒井は途中出場の選手をはじめとしたゴールに向かう姿勢が強く表れたことや、「後半は(汰木)康也だったり、ヨッチ(武藤)だったり。(広瀬)陸斗が入ってきてコーナーキックを取れることで、少しずつ自分たちのリズムにできた」と、セットプレーを連続することで押し返すことができたと振り返る。 良くない流れの中でも最低限の結果を引き出すことが、最終的な結果にもつながる。酒井は、「諦めない、緩ませない、最後の1個までしっかりと狙いにいくことが、できているところだと思います。最後の最後でしっかり点が取れる、あるいは最後の最後で、例えば0-0なら(失点)0でずっといく。0-1だったらそのまま(失点)1でいくことで、自分たちがもう1回、何かの手を掴める、チャンスを掴めるきっかけになることが、チームとしてすごく浸透している」と、昨季のリーグ制覇やカップ戦のタイトル獲得の成功体験と重なり、目の前の試合、目の前のプレーに集中する源であると話す。 この試合に対しても、個人としては対峙したM・サヴィオについて「非常にいい選手ですし、今日は正直苦戦しました」と、反省があったとしつつ、「今日もディフェンスラインに口酸っぱく言ったんですけど、1失点以上は絶対するなと。その守り方しろということはずっと言っていたので、それが実ったのも大事です。守備のベースがしっかりしているからこそ、攻撃も安心していける。僕らの仕事は、そこをしっかりやることだと思うし、前の選手たちは代わった選手も含めて、視線がゴールに向かっていることがチームの強みになっていると思います。積み上げてきたもの、今シーズンも多々そういうシーンがあったので。最後まで諦めない、コーナーを取る、最後のコーナーで決める…。そういうことが非常に大事な、チームとして染みついてることが、結果を取れる要因になっていると思います」と、勝つことに必要なこと、そこにフォーカスすることで、結果を得ることができ、そこからまた次につながる好循環が生まれているようだ。 12月8日の最終節はホームでの湘南ベルマーレ戦。勝てば自力で連覇達成となる。韓国に移動しての中2日でのAFCチャンピオンズリーグエリートを挟んでという過密日程の中ではあるが、「もちろん勝てば優勝ですが、優勝があるからどうするではなく、目の前の湘南相手にどうやって勝つ、プランを遂行する、自分たちの強みを出すということがまずその試合に勝つ一番大事なところ」と、変わらぬ心構えで勝利を掴みにいくとコメントしている。
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