東京成徳大学が目指すスタイルを体現する、シューターの須田理恵「足りない部分があれば自分が補いたい」
シューターの枠にとらわれないマルチな活躍
文=丸山素行 写真=日本バスケットボール協会 東京成徳大学は準決勝で札幌山の手を96-92で下し、11年ぶりとなるウインターカップ決勝進出を決めた。 成徳の絶対的なシューター須田理恵は、第1クォーター途中に相手の肘が入り、あご付近から出血するアクシデントに見舞われ、交代を余儀なくされた。それでも、チームはベンチメンバーが奮起し須田の穴を埋めると、応急処置を終えてコートに戻った須田もすぐさまシュートを沈める。ケガの影響を感じさせず、前半で7得点2アシストを記録した須田の活躍もあり、チームは57-51とリードして前半を終えた。 後半も成徳は一人に得点が偏るのではなくバランスの良い攻めでリードを拡大。終盤に札幌山の手の猛反撃を受けるも、逆転を許さずに逃げ切った。 準々決勝の成徳は須田とキャプテンの山田葵、センターの古谷早紀がフル出場するなど、6人でローテーションを回していた。しかし、この試合では序盤から積極的にベンチメンバーを起用。チームの絶対的司令塔である山田がベンチに下がった際には、シューターである須田を起点にオフェンスを組み立てた。最終的に須田はチーム最長となる32分強の出場で、2本の3ポイントシュート成功を含む14得点5アシスト3スティールを記録し、勝利の立役者となった。 成徳の遠香周平コーチは「繋ぎじゃなくて、出た選手が全員仕事をする。みんなが何でも仕事をするというのが目標だった」と、チーム作りの方針を語った。選手はそれぞれに持ち味がある。オールラウンドにすべてをこなせるに越したことはないが、発展途上の高校生の場合、自分の強みを最大限に発揮できる役割を与えらえることが多い。 須田はシューターではあるが、この試合ではシューターよりもプレーメーカーとしての活躍が目立った。須田は言う。「どのポジションでもマルチにプレーできるように練習はしてきました。今はシューターですけど、誰かが抜けて足りない部分があれば自分が補いたいと思っていて、それが今日はできました」