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1ドル=360円だった「固定相場制」が二度と復活できないワケ

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分秒刻みで変化を続ける為替レート。仕事柄、価格の上下に神経をすり減らしているビジネスマンも多いことでしょう。しかし、高度成長期の日本の為替レートは「固定相場制」でした。価格の変化を気にする必要もなく、便利だったはずなのに、なぜ現代で活用しないのでしょうか? 経済コラムで多くのファンを持つ経済評論家の塚崎公義氏が、明快に読み解いていきます。

便利なはずの「固定相場制」、なぜ採用しない?

経済ニュース等でみなさんがよくご覧になっている「為替レート」。為替レートは、毎時、毎分、毎秒動き続けています。輸出入を行っている企業の方などであれば、レートの上下はいつも気にかけていることでしょう。3ヵ月後に多額の輸出代金が振り込まれるといった場合、いざそのときにドルが安くなっていたら大損するかもしれませんから、ちょっとしたレートの変化にも気が気ではないではずです。 それならば「1ドルは100円」といった法律を作り、固定相場制に戻ればいいと思いませんか? 高度成長期の日本では、1ドルは360円と決まっていました。そのため、予算の予想を立てるのも簡単でしたし、レートの上下にハラハラする輸出入担当者もいなかったはずです。為替レートが固定されていれば、とても便利でしょうに、当時に戻ることはできないのでしょうか?

日本より米国のほうが「物価上昇率」が高いので…

上記の問いに常識的な答えを出すとするなら、「日米の物価上昇率が違うので、固定相場制は維持できない。それがわかっているなら、採用すべきではない」というものでしょう。 いまは1ドル=100円でもいいと思いますが、米国のほうが日本より物価上昇率が高いので、たとえば10年後に米国の物価が2割高くなり、日本の物価が変わらないとすると、「米国人は、ドルを円に替えて日本で買い物をした方が安く買える」という状態になってしまいます。 そうなると、大勢の米国人がドルを円に替えて日本で買い物をするので、米国の物が売れなくなります。米国の大統領は怒り心頭で、日本に固定相場制の廃止を求めてくるでしょう。 そのまま固定相場制を続けていると、米国の物価上昇によって、さらに多くの米国人がドルを円に替えて日本で買い物をするようになり、さらに米国の大統領の怒りが増すはずです。そんな状態が永続するとは思われません。 ということは、「将来は固定相場制が廃止されて変動相場制になり、そうなればドルの値段が下がるだろう」と人々は予想するようになるわけです。 そんなときに喜んでドルを買う人はいませんから、米国人が売りに来たドルは、日本政府が買わざるを得ません。固定相場制が続けば続くほど、日本政府が持っているドルは増えていきます。 いつの日にか、米国大統領の怒りに負けて固定相場制を放棄して変動相場制に移行すると、ドル安になりますから、日本政府は損することになります。100円で買ったドルの値段が、たとえば80円くらいにまで値下がりしてしまうわけですから。 それがわかっているのであれば、変動相場制への移行が早いほうが、日本政府の損は少なくてすみます。というわけで、いつかの時点で「永遠に続けることができないなら、そろそろ諦めよう」と政府が考えるはずです。

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