東欧ジョージア、EU加盟の取り組みを2028年まで延期 首都など各地で抗議デモ
東欧ジョージアは28日、最近の同国議会選挙の結果を受け入れないと欧州議会が決議したことを受け、欧州連合(EU)加盟に向けた取り組みを延期した。これに反発した国民らが首都トビリシなど各地で抗議デモを繰り広げ、一部で警官隊が催涙スプレーや水を放つなどした。 イラクリ・コバヒゼ首相は、EUが「恐喝」していると非難。ジョージアはEU加盟を目指す動きを「2028年末まで」中断すると述べた。 これを受け、ジョージア各地の都市で抗議デモが起きた。トビリシの議会前には数千人が集まり、交通を妨げ、EUの旗を振った。 ジョージアで先月26日にあった議会選挙をめぐっては、欧州議会が28日、「重大な不正行為」を理由に再実施を要求。同選挙は「悪化する民主主義の危機」の最新段階だとし、与党に「全責任がある」と決議した。 欧州議会は、票の買収や操作、有権者に対する脅迫、監視員らへの嫌がらせが報告されていることに、特に懸念を示した。 この決議を受け、コバヒゼ首相は「2028年末までEU加盟の問題を議題にしないことを決定した」と表明した。 ジョージアでは2012年以来、与党「ジョージアの夢」が政権を担ってきた。同党はジョージアをEUから遠ざけ、ロシアに接近させようとしていると批判されてきた。 「ジョージアの夢」は選挙での勝利を主張したが、野党側は不正があったとし、新たな国会をボイコットしている。親欧米派のサロメ・ズラビシヴィリ大統領も、投票を「違憲」だったとしている。 ジョージアは2023年以降、EUの正式な加盟候補国となっている。しかし、「外国勢力の利益を追求」しているとする組織を標的にしたロシア式の法律を制定したことで、EUは今年、同国の加盟に向けた作業を停止していた。 コバヒゼ首相はこの日、EU加盟に必要な改革を引き続き実施し、2030年までに加盟する計画は変わらないと説明。一方で、「EUが私たちの国の国益と伝統的価値を尊重することは極めて重要だ」とした。 トビリシでは28日、抗議デモ参加者らと機動隊との緊迫したにらみ合いが夜通し続いた。 デモ参加者らは道路にバリケードを築いた。警察は催涙スプレーや放水砲を群衆に浴びせた。 ショタ・サバシヴィリさん(20)は、「『ジョージアの夢』は選挙で勝利しなかった。クーデターを起こしたのだ」と主張。「ジョージアには正当な議会も政府もない。この自称首相に私たちのヨーロッパの未来を壊させるわけにはいかない」と話した。 学生のアナさんは、「(『ジョージアの夢』が)ジョージア国民の意思に反し、私たちをソ連に引き戻そうとしている」、「それはあり得ない。ジョージア国民は決してそんなことはさせないからだ」とAP通信に話した。 (英語記事 Georgia postpones EU membership bid until 2028 )
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