【詳細データテスト】シボレー・コルベット ミドシップ化で磨いた走り 高い実用性 唯一無二の存在感
はじめに
2013年、シボレーが欧州市場撤退を発表したとき、従業員の解雇や工場の閉鎖、GMの緩やかな欧州離脱に伴う騒動に、明るい兆しを見出したひとはほとんどいなかったはずだ。しかし、目利きのスポーツカーマニアは、明るいニュースを聞くことができた。 【写真】写真で見るシボレー・コルベットとライバル (15枚) それが、8代目シボレー・コルベットの正規導入だ。いうまでもなく、70年の歴史を積み重ねたアメリカンスポーツの象徴だが、今回は史上初となる右ハンドル仕様を用意してきた。 もしシボレーが、もはや欧州市場では忘れられつつあるキャプティバやアヴェオ、オーランドといった廉価なファミリーカーを今も細々と売り続けていたとしたら、メーカー規模でのCO2排出量規制が激しくなる中で、V8エンジンを積むスポーツカーを販売することはできなかったはずだ。 ところが、欧州GMはごく小規模で営業を再開したので、エミッション規制もそれに見合った緩やかなものが適用される。それゆえ、右ハンドルで生産されたコルベットが、欧州GMによってはじめて正規導入される運びとなったのだ。 ただし、英国でこれを購入できる販売店は1軒のみ。サリー州バージニアウォーターのイアン・アラン・モータースが、唯一の正規ディーラーだ。 これは、70年の歴史の中でも類を見ないコルベットだ。長年にわたり、このアメリカが誇るスポーツカーとは切っても切り離せなかった、フロントエンジンや横置きコンポジットリーフスプリングといった要素と決別したのだから。 それでも、これはコルベットだ。比較的安価で、一体脱着式ルーフパネルを備え、なによりパワフルな大排気量の自然吸気V8を搭載している。ただし、その搭載位置はキャビンの前ではなく背後だ。 とはいえ、結局のところわれわれが知りたいのは、この未知数の要素を盛り込まれたアメリカンスポーツがなにを得たのか、そして、ライバルとなる欧州の老舗スポーツカー勢と比較してどうなのか、ということ。さらには、本当にグローバルなミドシップスポーツカーとなったことで、なにか犠牲になったものがあるのだろうか、ということだ。それを確かめていこう。