人工漁礁で藻場再生へ 館山の波左間漁港で実証実験 房州ガスらが協力(千葉県)
館山市の波左間漁港で、人工漁礁を使った藻場再生の実証実験が行われる。株式会社ジャパンブルーカーボンプロジェクト(JBP、東京都)が日本各地で行う実証実験で、館山市の房州ガス(本間充代表取締役社長)、波左間漁業協同組合が協力する。 JBPでは、海の二酸化炭素吸収源である海藻や海草を増やすことで、温室効果ガスのもととなる二酸化炭素削減を目指そうと取り組みを進めており、これまでに北海道や青森、富山などでパートナー企業と共に藻場を増やす実証実験を行っている。 パートナー企業の一つである房州ガスは、地域で炭化水素を取り扱う会社として脱炭素に向けてできることを模索する中、JBPの各地での取り組みに賛同し、資金と人的サポートなどの面で協力することとなった。 実証実験では、製鉄所などの製造過程で発生する廃棄物「製鋼スラグ」とセメント、廃プラスチックやバイオ資源などを炭化させた「OKハイブリット炭」を混ぜてつくる漁礁「トリクル」が使われる。JBPと事業提携する株式会社大木工藝(滋賀県)の特許技術で、スラグの鉄分とバイオ資源が含むフルボ酸が結合し、海藻や海草に必要不可欠な栄養塩になるなど、生物の回復や廃棄物削減にも期待ができるという。 26日に館山市コミュニティセンターで、3社による実証実験に関する発表が報道向けに行われた。漁礁は、一辺30センチほどの三角すいにつくられており、同漁港の堤防から南側に向けて3カ所に200個を設置する予定。同漁協が漁礁の投下を担い、最長で5年間実験するとしている。 本間社長は「地域で事業を営んでいく会社として、地域の水産資源の充実と、子ども世代が不安を抱かない持続可能な将来に向けて、少しでも貢献できたら。長い目で向き合っていきたい」と思いを話した。