個人情報保護法草案提出 新型コロナで必要性再認識
【東方新報】全国人民代表大会(全人代)常務委員会第22回会議が北京で10月13日から17日の日程で開かれ、個人情報保護法草案の審議が行われた。中国は現在、単独の個人情報保護法はなく、ネット安全法や消費者保護法などの法律の中で若干の規定があるだけだった。 だが近年、情報化と経済、社会の深い融合に伴い、個人情報漏洩による問題も増加。個人情報の盗用、乱用の問題が深刻化。個人名簿データの違法売買や、スマートフォンのアプリからの違法に集めた個人情報を使って、電信詐欺などの犯罪、押し売りなどの迷惑行為も急増している。特に新型コロナウイルス感染症の流行期間、7000人の武漢市(Wuhan)からの帰省者の個人情報が漏れたことで、いやがらせや罵倒のメッセージが武漢市民に送り付けられるなどの問題が発生した。これは現実に市民の安全にかかわる問題でもあり、個人情報保護関連の法整備の早急な必要性が認識された事件でもあった。 全人代常務委員会法律工作委員会の報道官によれば、大衆の期待に応えて、党中央は全人代の立法計画に従って、立法工作委員会と中央インターネット安全情報委員会弁公室は広範なオピニオンを参考にして深く調査、研究し、個人情報保護法草案を起草。中国の現実に立って、ネット安全法などの法律、法規、基準などをとも兼ね合わせて国際組織や国家、地域の個人情報保護に関する準則なども十分に鑑みて、中国の個人情報保護に必要な健全かつ適切な法律制度を打ち立てる、という。 個人情報保護法が制定されることで、あいまいであった個人情報の定義や範囲、個人情報処理と活用の原則がさらに明確化され、個人の権利が保障され、個人情報処理者の義務が強化され、個人情報保護の監督責任が明確となって、厳格な法律責任、罰則が規定されることになるという。 また、今回の新型コロナウイルス感染拡大防止任務のプロセスで、個人と周囲の安全のために、個人情報が無制限に使用される場面もあった。今後、同様の事態が発生したときに、個人情報収集をどのように管理するかも、基準が打ち出されるようだ。 欧州連合(EU)一般データ保護規則(GDPR)のように、個人情報を一般個人情報と特殊個人情報にわけ、突発的な公共衛生事件の応急処置においては姓名、身分証明番号、住所、電話、GPS情報、オンライン活動情報などと、健康関連情報をひもづけ、特殊個人情報に格上げすることや、ゲノムデータや生態データ、健康データそのものを特殊個人情報としてさらに特別に保護することなども検討されているという。 (c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。