衝撃のRIZINデビューを飾った”キングカズ”次男の三浦孝太は格闘界の”キング”になれるのか…スター候補に敷かれた英才育成計画
日本サッカー界のレジェンドにして54歳の現役最年長選手の二世が、父親譲りのサッカーボールキックで注目のデビュー戦を飾る――間違いなくこう報じられる状況を正直、どのように思うのか。試合後の記者会見で孝太は胸を張って答えた。 「この舞台に立たせてもらうからには、勝つのはもちろんですけど、格闘技界を盛り上げることも意識しなきゃいけない。そのために自分の名前がそのように使われるのは、実力がない以上は仕方がないというか、むしろ望むところという感じです」 コートと帽子を白で統一した出で立ちで、夫人のりさ子さんとともにリングサイドで観戦していたカズへ、リスペクトの思いを捧げながらデビュー戦を戦った。 まずは入場曲。カズが毎年キャンプ地に映像を持ち込むほどの大ファンで、孝太自身も父の影響を受けて好きになった映画『男はつらいよ』のテーマ曲を選んだ。 大晦日を前にして『男はつらいよ』シリーズの舞台になった柴又帝釈天を訪ねた。購入した必勝のお守りを介して、下積みもなしにいきなり「RIZIN」でデビューする道に当初は難色を示したカズから、最終的に伝授されたイズムを思い出した。 「お父さんからは『決まったからには堂々としていろ』と言ってもらいました。プレッシャーはまったくなくて、逆に心配になるぐらいでした。正直、サッカーで勝ったときよりも今日の方がはるかに嬉しいし、いままで生きてきて一番嬉しい瞬間でした」 9月の「RIZIN.30」で大晦日でのデビューが発表されると、驚きの声とともに批判や誹謗中傷も孝太のもとへ届いた。当初はカズも、世間に「親の七光り」と受け止められる状況を懸念していたのだろう。それでも孝太は日々鍛錬を積み重ねながら、金言を授けてくれたカズの生き様を思い出し、プロ格闘家として第一歩を踏み出す力に変えた。 「お父さんとお母さんがすごい偉業を成し遂げてきてくれたから、自分は今回の舞台に立てたと思っています。小さなころはお父さんのすごさが頭にありながら学校で問題を起こすなど、悲しませるようなことをしてしまった。それでも自分を見捨てずに、こうしてデビュー戦を応援しに来てくれたことに、いまは感謝の言葉しか思い浮かびません」