米日韓を席巻したBTS「ダイナマイト」パフォーマンスの超絶秘話
初登場で「Billboard Hot 100」トップを飾り、2020年下半期に世界中で「Dynamite」旋風を巻き起こしたBTS(防弾少年団)。 【動画】「ダイナマイト」圧巻パフォーマンス20本をまとめて観るならコチラ リリースから約半年が経とうとしている2月17日現在も、46位とTOP50位圏内に留まり続けているだけでなく、アメリカを除いた世界200地域以上のストリーミング数と売り上げを集計したランキング「ビルボードグローバル」で2位を記録するなど、グローバルヒットソングの強さを見せつけている。 これほど長期間チャートインを維持している理由は、8.3億回を超える再生数を誇る公式MVの力はもちろんのこと、2020年9月以降のプロモーション活動も大きく貢献している。 特に日本や韓国で音楽賞が行われた2020年11月から2021年1月にかけて、BTSは頻繁にメディアへの出演を果たし、次々と新しい演出で「Dynamite」を披露。応援するARMY(BTSファンの呼称)に向けてのメッセージと共に、視聴しているみんなを元気づけてくれる、華々しいステージを繰り広げた。そして、そのステージ映像のほとんどがYouTubeで公開されており、ファンを飽きることなく楽しませていることも、ロングヒットの一因だろう。 そこで、2020年コロナ禍の中でスタートした「Dynamite」の軌跡を、BTSのYouTubeオフィシャルチャンネル・BANGTANGTVとBUNGTAN BOM、および各放送局などのメディアが公開している動画を使い、時系列を追って振り返ってみよう。 ◆アメリカの人気テレビ番組へ積極的にリモート出演 「Dynamite」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界ツアー「THE MAP OF SOUL TOUR」のスケジュールが大幅に見直されたことを受け、ツアーを心待ちにしていたARMYに向けて、癒やしや慰めを届けたいという気持ちで制作されたという。 「英語のシングルで、軽快かつエキサイティングな曲」というオーダーに見事応えたのは、コロンビア・レコードのロン・ペリー会長の眼鏡に適った、作曲家のスチュワートとアゴンバー。2人はBTSと何度かやり取りを重ねながら「Dynamite」を仕上げたという。万が一話題にならなかった場合に備え、BTSはSNSを使った簡単なダンスチャレンジ企画を展開する準備もしていたが、予想に反して、一夜でYouTubeとSpotifyの記録を塗り替えるほど話題に。 そしてリリースから9日後の8月30日(現地時間)、NYで行われた、年間のもっとも優れたMVやアーティストを決める、アメリカ最大級の音楽授賞式2020 MTV Video Music Awardsのステージで、遂に初披露を迎える。 これを皮切りに、まるでオンラインツアーのごとく、アメリカの音楽フェスや人気番組に次々と出演。衣裳や舞台演出を少しずつ変えて、世界中の視聴者の目を楽しませてくれた。時系列で動画を視聴していくと、回を重ねるごとにステージでの動きもこなれ、ダンスパフォーマンスや歌唱にアレンジが加えられていくのが体感できるはずだ。特にJIMINのハモリと、JINのソロアップに注目して観て欲しい。 ◆タイニー・デスク・(ホーム)・コンサート 2020年9月21日公開。タイニー・デスク・コンサートは、アメリカの公共ラジオ放送「National Public Radio(NPR)」の音楽部門事務所で開かれ、ステージで観るときとはひと味違うアーティストのパフォーマンスを観ることができると話題の番組だ。現在、COVIT-19の影響でリモートで放送しており、タイトルに(ホーム) がついている。 BTSは9月21日放送回に出演。番組の雰囲気を再現したこじんまりとしたスタジオで、椅子に座ったまま歌唱……のはずが、途中で我慢できずに踊りだす人が数名(笑)。音源にはない合いの手を入れたり、踊っているメンバーを楽しそうに見つめるメンバーのアップがあったりと、“お家コンサート”というコンセプトにぴったりの映像で、曲の間にトークを挟みつつ「Dynamite」「Save ME」「Spring Day」の3曲を披露した。 ちなみにメンバーの見分けがつかない! という人は、この映像の座り順とマイクの色で、顔と名前を覚えてみよう。映像左からJ-HOPE(ジェイホープ・赤マイク)→SUGA(シュガ・黒マイク)→JONGKOOK(ジョングク・青紫マイク)→V(ブイ・緑マイク)→JIN (ジン・ピンクマイク)→RM(アールエム・白マイク)→JIMIN(ジミン・オレンジマイク)。 ◆The Tonight Show Starring Jimmy Fallon 2020年10月3日公開の「The Tonight Show」の出演映像。メンバーがダンスホールような場所でバイトをしている小芝居から始まるのだが、「こんなオシャレイケメンのバイトが居たら、毎日通うわ!」と叫びたくなるかわいさ。このバイトシリーズが好評だったのか、後に他の番組にも使われている。 ◆アメリカズ・ゴッド・タレント 2020 2020年10月22日公開。NBC才能オーディション番組「アメリカズ・ゴッド・タレント」の特別パフォーマーとして、9月17日に出演したステージの映像。色とりどりのネオンが光る夜の遊園地の背景やレトロポップな衣裳、花火の演出など、MVの新ヴァージョンとも言える完成度の高さで、繰り返し見てしまう中毒性がある。特に車の助手席に座ったVの映像は、彼氏感満点! ◆The Late Late Show with JAMES CORDEN 2020年11月25日公開。グラミー賞にノミネートされたことを記念し、アメリカCBS放送のトークバラエティ番組「The Late Late Show with JAMES CORDEN」に出演した際の、スペシャルパフォーマンス。クリスマスパーティをしている部屋から始まり、ドアを次々を開けていくと意外な場所に到着!? そのユニークな演出が大好きというファンも多く、1800万回以上の再生されている。 司会のジェームズ・コーデンはBTSの大ファン。BTSの番組出演回数も多く、MV再生数のTOPに上がってこないアルバム曲のパフォーマンス映像もあるので、興味がある人はチェックしてみよう。 ◆FNS歌謡祭 2020年12月2日公開。同日に日本で放送されたFNS歌謡祭第1夜に、療養中のSUGAを除く6人で出演。前日の12月1日に、FNS歌謡祭【公式】Twitterで、「美術館風のセットでパフォーマンス! みどころはステージのうしろ!? 横!?」という気になるつぶやきがあり、日本中のARMYが注目した。 セットで飾られていた絵画は、BTSの旅番組「In the SOOP BTS ver.」でメンバーが描いたもの! Vがパフォーマンス中に、療養中であるSUGAの絵に寄り沿ってメンバーへの愛情を示したこともあり、ARMYの間ではかなり話題となった。 ◆2020 SBS歌謡大祭典 2021年1月5日公開。2020年12月25日に放送された、韓国SBS歌謡大祭典に出演し、クリスマスの飾りに彩られた街中をイメージしたセットで、楽しげに「Dynamite」を披露した。途中、緑色のニット帽をかぶった雪だるまが登場。RMが自分のパートで「Ladies and gentlemen, I got the medicine」から「Ladies and gentlemen, I got the snowman」と歌詞を変えて歌った後、SUGAパート位置に置かれた雪だるまを中心にダンス。メンバーたちがかわるがわる雪だるまをなでて、ファンの心を熱く揺さぶった。 同祭典でRMは、「Dynamite」の前に歌った「Life Goes On」でも、雪だるまにまつわる歌詞の変更を行っていて、SUGAに向けたステキな替え歌ではと話題に。後日、音声のみでVLIVEに登場したSUGAは、「当日放送を観ていたが、自分が雪だるまで出てくるなんて思っていなかった」とコメント。「ユンギ×雪だるま」がTwitterのHOTワード入りした。(※ユンギはSUGAの本名) SUGAの一時復帰というな劇的な締めくくりで一段落を迎えた、「Dynamite」を携えてのメディア露出。2021年頭には、彼らがメディアに登場して話題になると、下がっていたビルボードヒットチャートの順位が再浮上するという珍しい現象が起きたが、冒頭でも触れた通り、現在は緩やかに順位を下げている。 また、公式アカウントでの動画は未公開だが、2021年1月9~10日には、第35回2021ゴールデンディスクアワードに出演。3月14日には、「Dynamite」がポップ歌唱・演奏賞(グループ/デュオ部門)でノミネートされたグラミー賞授賞式がLAで開催される予定で、もうひと盛り上がりありそうな予感。 まだまだ当分、「Dynamite」で楽しめそうだ。 取材・文:中村美奈子
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