「長生きの秘訣」は1日4分の習慣にある 高齢者を5年追跡して突き止めた最新の事実
「長生きのためのエクササイズ」というと、とかくウォーキングなどの低強度の運動を行いがちだ。だが、ノルウェーの最新の研究によると、肉体に高い負荷を課す、その名も高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training)を取り入れたほうが長生きする結果が出たという。 高強度インターバルトレーニングとは、全力の運動と休憩を繰り返すトレーニング法で、20秒間の全力運動+10秒の休憩を計8回行う「タバタトレーニング」で世界に広く知られることになった。その後、さまざまなバリエーションが生まれているが、全力運動と休憩のセットを繰り返す点は同じである。頭文字を取ってHIITと呼ばれる。 HIITは短時間で効率的に脂肪燃焼と心肺機能の強化ができることで知られているが、長寿に繋がるとは新しい発見である。「HIITって何?」という初心者も、「HIITはキツすぎる」という経験者も、運動のルーティンに取り入れてみる価値はありそうだ
運動と寿命との関連性を明らかにする壮大な実験
心拍数を増やせば、寿命は延びるのだろうか? この可能性こそ、運動と死亡率に関する今回の挑戦的な研究のテーマである。この新たな研究は、運動と死亡率に関するこれまでの研究のなかで、最大かつ最長の規模で行なわれたもののひとつだ。 その結果は、何らかの運動をしている高齢の男女は、早死にする確率が比較的低いことを示している。さらにこの研究が新たに明らかにしたのは、エクササイズのルーティンに激しい運動を加えた場合、若くして死亡するリスクはさらに少なくなり、生活の質も向上するということだ。 運動と寿命との直接の関連性を明らかにするためには、長期にわたる無作為かつコントロールされた実験へのボランティアが必要となる。一部の参加者には運動してもらい、他の参加者には別の方法で運動してもらうか、まったく運動せず過ごしてもらう。その後、研究者たちは、各グループの統計比較が可能になるほど一定の人数が亡くなるまで、何年間ものあいだ参加者たちに密着しなければならない。 しかしこのような研究は、気が遠くなるほど複雑でコストも高くつくため、めったに実施できない。また、このような研究は、規模が限定されてしまう可能性も高い。一般的な実験の期間中に亡くなる成人はそうそういないからだ。 これは、参加者にとっては幸運なことだが、寿命について研究しようとしている研究者には大問題だ。わずかな死亡率では、運動が寿命に有意義な影響を与えているか否かを判断することはできない。 これらの障壁に怯まなかったのが、ノルウェーのトロンヘイムにあるノルウェー科学技術大学で運動を研究する科学者たちだ。他の研究機関の仲間とともに、さまざまなタイプの運動が心臓病や健康状態に与える影響を調査してきた彼らは、次に調査すべき明白なテーマは長寿であると感じた。そこで彼らは約10年前、昨年10月に科学誌「BMJ」に掲載されることとなる研究の計画を始めたのだ。