宣言なくても気になるコロナ GW突入 キャンプ場なら「気にせずに」 感染対策しっかりな店「安心」 駅や観光地にぎわう
ゴールデンウイーク(GW)が29日始まった。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出ていないGWは3年ぶり。鹿児島県内の空と陸の玄関口は古里や観光地に向かう人で混雑した。 【写真】ゴールデンウイークを迎え、混雑する到着口ロビー=29日午後4時20分、霧島市の鹿児島空港
鹿児島空港(霧島市)は旅行かばんを持った家族連れらが次々に降り立った。愛知県刈谷市の会社員田中明日香さん(25)は実家の鹿屋市へ。「友達と遊んだり、好物の唐揚げを食べに行ったり、1週間ゆっくり過ごしたい」と話した。 JR鹿児島中央駅(鹿児島市中央町)も乗降客でにぎわった。大阪市の小学5年戸石健心君は、鹿児島市の大叔母から「大きくなったね」と出迎えを受けた。「竹を切り出して、そうめん流しをするのが楽しみ」と笑顔を見せた。 日本航空によると、29日の下り便の予約率は約9割と昨年のGW初日より増加。九州新幹線の下り自由席乗車率は最高で121%と好調だった。 ◆行楽地 ゴールデンウイーク(GW)初日の29日、鹿児島県内の行楽地は、自然や旬の食を楽しむ人の姿が見られた。新型コロナウイルス下、キャンプ場では家族連れが開放感を満喫。世界自然遺産登録後、初のGWを迎えた奄美大島には、多くの観光客が訪れた。
奄美市の「奄美ラッキーレンタカー」は、名瀬と空港前の営業所約190台が予約でほぼ埋まった。レンタカー部門事業部長の田畑敬一郎さん(44)は「昨年より20台ほど増やした。世界自然遺産の効果を感じる」と話した。 道路整備などで休園していた龍郷町の「奄美自然観察の森」は、29日から5月5日の連休期間に合わせて開放した。家族連れらがアカヒゲなど十数種の鳥の鳴き声に耳を澄まし、シイの巨木など常緑広葉樹に見入った。 奄美市名瀬の教員里見友莉那さん(24)は指導員の説明を聞きながら散策。「以前から訪れたかった。地元の自然を子どもにも伝えたい」と話した。 30日まで「阿久根うに丼祭り」が開かれている阿久根市。飲食店「十三(とみ)」は昼食時になると、行楽客が次々と訪れ、ガラス板などを備えた席に座った。 出水市に帰省中の医師永福寿朗さん(24)=熊本県水俣市=は、初任給で両親にごちそうしようと来店した。「阿久根のウニはおいしく、感染対策もしっかりしていて安心」と旬の味覚を堪能した。
ただ、客足はコロナ前の半分以下。店の浜田豊和さん(69)は「本来の連休のにぎわいが早く戻ってほしい」と願った。 県本土は午後から雨が上がり、晴れ間が広がった。霧島市牧園町高千穂の「霧島高原国民休養地」にはキャンプを楽しむ家族連れらが詰め掛けた。「子どもはのびのび遊べるし、親もストレスフリー」と同市隼人町松永の会社員徳重ななえさん(34)。鹿児島市西伊敷7丁目の税理士川畑知裕さん(45)は両親ら家族8人と食卓を囲んだ。「コロナを気にせず熊本の両親と合流できた」と笑顔だった。