【2022参院選 福島県民のまなざし】円安・原材料高騰 予算足りなくなる 税制措置など大胆に
長期するコロナ禍などで経済の疲弊が進む中、急激に進む円安や原材料の高騰も福島県内の事業者に暗い影を落とす。国外に拠点を持つ事業者は急速な円安に危機感を強め、輸入食材を使用する食品製造業者は原材料費の値上げ分を価格に転嫁するか頭を悩ませる。窮状にあえぐ事業者は実効性のある施策の実現を候補者に求める。 郡山市の鉄製橋梁(きょうりょう)メーカー「矢田工業」はベトナム・タインホア省に現地法人を設け、新工場を建設している。ここ数カ月の急激な円安に、専務の成田英樹さん(44)は「このままでは当初見込んでいた予算では足りなくなる」と危機感を募らせる。 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、建設作業の中断を余儀なくされている間、円安は大幅に進行。21日には約24年ぶりに一時136円台に突入した。今後、現地で新たな設備投資が必要になれば、出費がかさみ、経営に影響が出ることも予想される。円安の影響で、橋梁の材料となる鉄製品の値上がりも続いている。
成田さんは各党ともに急激な国際情勢の変化に翻弄(ほんろう)され、具体的な施策を示せていないと感じている。「社会情勢は不透明さが漂っている。行き過ぎた円安に歯止めをかけるための施策が必要」と求める。 新型コロナの影響で落ち込んだ新設住宅着工戸数は全国的に回復傾向にあるが、一部の業者は恩恵を受けられず、厳しい経営を強いられている。 注文住宅の建築を手掛けるいわき市の薄井工務店は、新型コロナウイルスの感染拡大後に仕事が激減した。外国産材の供給不足と国産材の値段高騰を招いた「ウッドショック」の影響がいまだ残り、注文住宅の価格が跳ね上がったためだ。 木材以外にも建具やシステムキッチン、エアコンが値上がりし、住宅価格を押し上げている。コロナ禍前より住宅価格が約400万円増額したケースもあり、購入を断念する人が相次いでいるという。 薄井政広社長(55)が候補者に望むのは、住宅購入に関心のある子育て世帯や若者を対象にした施策の充実だ。各党の公約を見ても、具体性と決め手に欠けていると感じた。「大胆な税制優遇措置を行い、若い世代が安心して住宅を購入できる環境を整えて」と訴える。