コンクリ建物がCO2を吸収する、清水建設が北海道大と開発した技術の仕組み
清水建設と北海道大学は、コンクリート構造物の表層に塗布した含浸剤により二酸化炭素(CO2)を吸収・固定化する技術を開発した。含浸剤はCO2の吸収性に優れるアミン化合物を主原料とし、塗布することで吸収量を1・5倍に高められるという。実験室レベル・現場レベルでの性能評価と検証を続け、2026年ごろの実用化を目指す。 セメントの使用量削減や原材料へのCO2固定化といった生産段階ではなく、既設構造物における対策として訴求する。 大気中のCO2を回収する直接大気捕集(DAC)による固定化に適した材料を分子レベルで探索。コンクリート内での物質拡散と反応過程を可視化して完成した。高い防食性も付与でき、固定化による部材の中性化で生じる鉄筋の腐食も抑制できる。 「DAC(ダイレクトエアキャプチャー)コート」として展開する。日本国内のコンクリート構造物は約300億トンと推計され、こうした露出部全体に本技術を適用すると3億トン以上のCO2を吸収できる可能性があるという。清水建設と北大が産学共同で取り組む次世代材料「ロジックス構造材」の研究開発の一環。