与党「最低1勝が至上命令」、首相の求心力を左右…参院2選挙告示
8日告示された参院長野選挙区補欠選挙と参院広島選挙区再選挙の結果は、菅首相の今後の政権運営に影響を与える。与党は「最低1勝が至上命令」(自民党幹部)と位置づけており、2敗すれば首相の求心力低下は避けられない。
加藤官房長官は8日の記者会見で、両選挙について「菅政権が発足して初めての国政選挙だ。政府の取り組みに国民の理解が得られるよう、与党とも連携しながらしっかりと取り組んでいきたい」と述べた。
補選は、政権の勢いが結果に反映されるケースが多い。第2次安倍内閣は、発足から約4か月後の参院補選で圧勝し、政権運営に弾みを付けた。逆に、福田首相は初の国政選となった衆院補選を落とし、4か月後に退陣を表明した。
両選挙と同じく25日に投開票される衆院北海道2区補選(13日告示)では、自民党は「不戦敗」を決めている。同補選は首相に近い吉川貴盛・元農相(自民を離党)の議員辞職に伴うもので、苦戦は避けられないと判断したためだ。
長野は野党の地盤が強固とされる一方、広島は保守王国と呼ばれる。自民党内では「順当に行けば1勝1敗」(閣僚経験者)との見方が大勢だ。仮に二つとも落とし、「3敗」となれば、選挙に不安を抱える若手らが動揺するのは必至で、衆院選に向けて「菅降ろし」を模索する動きが起きる可能性もある。
首相の自民党総裁任期は9月末まで。秋までには衆院解散・総選挙が行われる。解散や総裁選の時期を巡り、首相がフリーハンドを握るためには、最低1勝は確保し、党内基盤を固める必要がある。