税込年収と手取り年収の違いとは? 計算の仕方や仕組みも解説
給料をもらって働いている人はいわゆる額面の年収と、手取りの年収はかなり違うという実感があるでしょう。学生時代のアルバイト代が時給×働いた時間でもらえたのに対し、フルタイムで働く社会人は税金の負担などがかかります。 税金や社会保険料の基本的な仕組みを知れば、給与天引きへの理解も進みますし、そこに少しでも手取り収入をアップするヒントが隠れています。簡単に税金や社会保険料の仕組みを見てみましょう。
給料の額が増えると税金や社会保険料負担が増える
パートタイム、フルタイムにかかわらず、会社や官公庁、個人事業主に雇用されて給料をもらえば、税金や社会保険料負担が生じます。 労働で社会に参加し、報酬を得る代わりにその一部を社会に還元する、あるいは健康保険や年金の仕組みを通じて相互に助け合うという仕組みです。税や社会保険の仕組みは長年の制度設計・改善の積み重ねからできていて、非常に精緻なものとなっています。 会社勤めなどをしていると、年末に税金の精算が行われます。それが年末調整で、給与所得以外の収入がない人などは、その1年の額面の給与収入と手取り収入がそこで分かります。 雇用主の支払金額が額面の年収で、そこから所得税・地方税、さらに社会保険料を差し引いた額が手取り収入です。これは可処分所得とも呼ばれます。 その人の働き方や月額の収入、さらにトータルの年間収入によって、税金や社会保険料の額は決められていますが、基本はたくさん稼げば稼ぐほど負担も増えるという仕組みです。
所得税は源泉徴収、地方税は1年遅れの徴収
所得税は1年を通じた給与収入からさまざまな控除を引いた額に、その額に応じた税率を掛けて決まりますが、最後にまとめて払うのではなく毎月の給料から源泉徴収という仕組みで均等に支払うことになっています。ボーナスからも一定のルールに従って源泉徴収されます。 毎年、扶養控除等申告書という書類を会社に提出し、そのデータをもとに源泉徴収額が決められています。12月に子どもが生まれると親孝行だなどと言われますが、それは年末基準で扶養控除が計算されるので、その分を考慮しないで1月から源泉徴収されていた税金が年末調整で戻ってくるからです。 地方税は都道府県・市町村に支払う税金ですが、所得税つまり国税のデータが翌年に住所地の自治体に伝えられ、5月頃に税額が通知されます。 その前の年の所得に基づいて計算されるので前年課税と呼ばれます。サラリーマンなどの場合は特別徴収といって、6月からその翌年の5月まで12回に分けて給料から天引きされるのが通常です。 つまり5月に天引きされている地方税は2年前の所得に基づいたもので、実感としてはかなりのズレがあります。定年退職した場合などは天引きできる給料がなくなるので退職金などから支払いに充てることになり、額によっては大きな負担になります。