水道代がかからないしエコだからって「井戸水」「雨水」洗車はNG! キレイにならないどころか塗装を傷める可能性もあった
井戸水には不純物が多い
都市部に住んでいる人にとっては無縁の話だが、日本中には家の庭などに井戸がある場所に住んでいる人もいるはずだ。で、エコだから、水道代がかからないから……という理由で、井戸水でクルマを洗車している人もいるかも知れない。 【画像】鳥のフンの被害を受けたクルマの屋根などの画像を見る が、それは絶対にNG行為。井戸水には水道水に比べてカルシウムやミネラル成分が多く含まれているとされ、その濃度が高いため、塗装面やガラス面に深刻なダメージを与えてしまうからである。 具体的には、井戸水洗車後、水気を拭き取ったとしても残留するカルシウムやミネラル成分が乾くことで、白い斑点状のシミが付着してしまう。このシミ、水道水や雨水によるウォータースポット(リング状のシミ)よりずっとやっかいで、溶剤系クリーナー、コンパウンドなどで除去しようとしても困難。理由は塗装面の奥まで溶かして浸食し、塗装にクレーターのようにへこむ被害をもたらすのだから怖すぎる。 ガラス面にしても、クレーター状の白いシミがびっしりと付着しているかもしれない(こちらはソフト99のウォータースポット強力除去剤「ガラスリフレッシュ」などで落とせる可能性があるが)。すでに井戸水で洗車している人は、塗装やガラス面を確認するとともに、すぐにやめるようにしたい。 自宅、駐車場に水道設備がないのであれば、コイン洗車場を探すか洗車機を使うか、プロの洗車に任せるべきである。
雨水を使った洗車もメリットなし!
そしてもうひとつ、要注意なのが、雨水洗車。ごく一部の洗車好きから、雨のなかでカーシャンプーを使い、洗車すると経済的で、水気の拭き取りも不要だから手間がかからない……なんていう洗車方法を行っている人がいるのだが、小雨かつ、すでに汚れたボディを洗う場合、砂や泥を含んだ汚れを完全に浮かせることができない状態で乱射することになり、タオルやスポンジで汚れを引っかくような洗車方法になるため、かえって塗装面をキズつけてしまう可能性がある。 そもそも、「雨の中で洗車しよう」と張り切ることができるのは小雨の状態ではないだろうか。まさか台風、豪雨のなかで洗車したいと思うはずもないだろう。しかし弱い小雨だと汚れを浮かすことはできても、汚れやカーシャンプーを洗い流すほどの水量(雨量)はなく、とくに雨が直接当たらないボディサイドやタイヤ&ホイールまわりなどは水洗い効果が得られず、雨が直接当たるボディ上面にしても洗いムラができ、カーシャンプーの洗剤分をしっかりと洗い流すことは不可能。 洗剤分がボディに残り、晴れて紫外線が当たれば、即、シミの原因になってしまうのだ。土砂降りの雨のなかなら、それなりの洗車効果はあるかもしれないが、そんなときにビショ濡れになりながら洗車したいと思う人なんて、そうはいないはずである。 そして雨水洗車中に雨が上がり、晴れたりすれば、水滴が急速に乾き、ウォータースポットを誘発。最悪の洗車ケースになってしまうのだ。 よって、クルマを、ボディを大切に扱いたいなら、井戸水、雨水洗車はしないこと。最低限、水道水を使った洗車が愛車のためである(理想は洗車のプロが使う純水)。ちなみに以前、このWEB CARTOPで書いたように、ウインドウ内側には水道水を使わないほうがいい。 水道水で硬く絞ったタオルで拭くと、水道水に含まれるナトリウム、カルシウム、マグネシウム、ケイ素に加え、浄水処理で塩素成分が不純物となって、ムラの原因になってしまうからである。 適切ではない洗車を長年繰り返していると、ボディ、塗装、樹脂パーツなどが痛み、ガラスの艶が失せ、クルマの見栄えはもちろん、価値が下がり、下取り、買取時の査定額にも影響することを覚えておきたい。
青山尚暉