親元就農者へ支援手厚く 農水省、施設・機械の修繕に 第三者継承も対象
農水省は、これまで手薄だった親元就農者への支援を充実させる。親から経営を引き継いで農業を始める人に対し、受け継いだ施設や農機の修繕を支援する事業を新設。親元就農に加え、第三者継承で農業を始める人も対象にする。さらに、収入が不安定な就農初期を支える「経営開始資金」は要件を緩和し、親元就農者が使うハードルを下げる。 新設事業は、2024年度補正予算案に盛り込んだ。事業名は「新規就農者確保緊急円滑化対策・世代交代円滑化タイプ」。親元や第三者継承で就農した49歳以下の就農者が対象だ。 支援メニューは2種類ある。一つは、親や第三者の経営を継承し、農業を始めるのにかかる費用の3分の2を助成する。国が3分の1、都道府県と市町村が残りの3分の1を負担する。対象は、施設(ハウスや畜舎)や農機の修繕・撤去費、税理士など経営の専門家への相談料などだ。 もう一つは、施設や農機を新たに導入するのにかかる費用の4分の3を支援する。国が2分の1、都道府県が4分の1を負担する。 二つのメニューを同時に使うこともできるが、国が負担する補助額は合わせて600万円が上限だ。同省によると、新規就農支援ではこれまで、施設や農機の導入を支援する事業はあったが、修繕や撤去を支援する事業は今回が初めてで、経営継承による就農に対応した事業を新たに設ける形だ。 49歳以下の新規就農者に年間150万円を最長3年間支給する「経営開始資金」は要件を緩和する。親元就農者の場合、これまでは親と異なる品目に取り組むことが実質的に要件となっていた。今後は、同じ品目でも新たな技術を導入するなど「経営をバージョンアップさせる場合」(同省就農・女性課)は支給対象とする。 新規就農支援を巡り江藤拓農相が6日の参院予算委員会で「大幅に見直す」と表明していた。 (北坂公紀)
日本農業新聞