ネプチューン堀内健は「怪物的な芸人」 若手ともあえて最前線で張り合う稀有な存在
MCを務める千鳥が見守る中で、令和ロマンの高比良くるま、霜降り明星のせいや、チョコレートプラネットの長田庄平ら人気芸人たちが1日限りの即席コンビを組んで、さまざまなシチュエーションで即興のショートコントを披露する。最後まで勝ち残ったコンビには賞金1000万円が与えられる。 今が旬の芸人が並ぶ中で、堀内も出場者として名を連ねていた。そして、彼はパートナーとしてニューヨークの屋敷裕政を指名した。派手にボケまくる自分の芸風に合うのは、屋敷のようなツッコミ気質の芸人であると考えたのだろう。 ■ホリケン×屋敷は絶妙! 彼らのコンビネーションは絶妙だった。堀内は持ち前の自由奔放なスタイルでボケ続けて、ツッコミ役の屋敷をさんざん振り回す、というところまでは当初の予想通り。でも、彼らの面白さはそこにとどまっていなかった。 次々に難しいお題を投げかけられても、堀内はそれらを丁寧に打ち返して、着実に笑いを取っていく。しかし、屋敷はそのような即興の笑いを苦手にしているタイプの芸人だ。自分の順番が回ってくるたびに、彼は苦悶の表情を浮かべて、何とか答えをひねり出し、スベってしまう。堀内の大喜利力が人並み外れて高すぎるがゆえに、屋敷の不得意さが際立っていて、そこが人間ドラマとして抜群に面白かった。 もちろん、屋敷もやられっぱなしでは終わらず、ボロボロになりながらも土俵際で力強く自虐コメントやツッコミを返して、笑いを巻き起こしていた。 どんな業界でも、それなりの地位まで出世するのは難しいことだが、そこまで出世して、さらにそこから降りていって、現場で再び生きの良い若手と張り合うというのは、もっと難しいことだ。堀内は涼しい顔でその難行をこなしている。本当の意味で怪物的な芸人とは、こういう人のことを言うのかもしれない。(お笑い評論家・ラリー遠田)
ラリー遠田