環境保全へ官民4者が連携協定 奄美の自然遺産登録見据えノウハウ共有
鹿児島県、環境省沖縄奄美自然環境事務所、鹿児島大学、国立環境研究所生物・生態系環境研究センターの4者は26日、奄美大島と徳之島の世界自然遺産推薦区域(登録後は登録区域)と緩衝地帯の保全管理の強化などに向けた連携協定を締結した。遺産登録後の地域保全も見据えた取り組み。4者の資源やノウハウを共有し、対象区域の長期的な調査研究や自然環境・文化などの学術的知見の蓄積を進める。奄美群島国立公園の生態系管理型・環境文化型の保全管理へ、各種モニタリングや地域での人材育成も図る。 現在、環境省が調査を行っているアマミノクロウサギなど希少動植物の活動や対象区域に出入りする人々の状況、国立環境研究所が進めている生物・生態系モニタリングなど、幅広い分野での学術的な知見を結集。鹿児島大学は学術的知見のほかに人材面の提供なども行う。 鹿児島市の県庁で締結式があり、塩田康一知事、沖縄奄美自然環境事務所の東岡礼治所長、鹿児島大学の佐野輝学長、国立環境研究所生物・生態系環境研究センターの山野博哉センター長(リモート出席)が協定書を交換し、協力体制の強化を確認。塩田知事は「地元市町村とも連携し、自然遺産としての価値の維持と利用との両立に取り組みたい」と述べた。 環境省と鹿児島大学は16年10月に「鹿児島県内の自然環境保全に関する協定」を締結しており、東岡所長と佐野学長は今回の4者協定による取り組みの発展に期待。山野センター長は、生物・生態系モニタリングの活用による地域保全への貢献を喜んだ。 奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島の世界自然遺産登録については、国が2017年2月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦したが、ユネスコの諮問機関・世界自然保護連合(IUCN)の登録延期勧告を受け、いったん推薦を取り下げた。 国は19年2月に再推薦。今夏の登録実現が期待されていたが、今年6月29日~7月9日に中国で開催が予定されていた世界遺産委員会が新型コロナウイルスの影響で延期された。
奄美の南海日日新聞