65才女性記者、新入社員研修でふいに語った「仕事がキツくなったら逃げろ」
女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子が、日々の生活の中で感じた思いを自由に綴る。今回は、新入社員にインタビューされたエピソードを明かす。
* * * 「当社の新入社員研修の一環として、新入社員からインタビューを受けていただけませんか?」 女性セブンの元編集者で、人事部に移ったOさんからこんな電話がかかってきた。彼とは旧知の仲だけど、しかし65才の野良犬ライターの私が、ピカピカの新入社員に話せることがあるかしら、とか言いながら、結局は「やりま~す」って、私の返事の軽いこと。 これ、私だけじゃないと思うけど、中高年って意見を求められたりするの、だぁ~い好きだよね。すぐ、得意げに話し出すし。 で、当日、まず私は女性セブンに載った「オバ記者、AKBになる」や「アゲ嬢になる」で使用した写真を数枚持参してお見せした。笑っていただいて、手っ取り早くお互いに気楽になりましょう作戦よ。 が、「え~っ、すごぉ~い」と女子は笑ってくれたけれど、男子はカッと目を開いて、何枚かをひっくり返して見ている。そりゃそうだよね。2000年前後に生まれた彼らは私の孫世代。AKB48もアゲ嬢も歴史上の人物だもの。 「ライターになったのはどうしてか、教えてください」 まずは無難な質問から始まった。「それは小・中学生のとき、先生にほめられたのは作文しかなかったから」と私。 Oさんは、「新入社員は事前に野原さん(オバ記者)のことを調べて、質問を用意していますから、それに答えればいいんですよ」と言っていたから気楽といえば気楽。 「私、早生まれなんですよ。戸籍上の誕生日は3月28日だけど、実際は4月3日だか4日だか。私を取り上げた助産師さんが『まだ間に合うよ』と母親に耳打ちしたんだって。出生届は出産から1週間以内。3月に生まれたことにしたら1年早く社会人になるから親は助かるって」 病院での出産が当たり前のいまでは考えられないことだ。でも私が話したかったのはそれじゃなくて、要するに私が劣等生だった言い訳よね。 「だから漢字は、逃と逆と追が微妙で、ライターになってからもよく間違えたの。かけ算は7の段が微妙」と言ったら、すかさず「7は難しいですよね」と返ってきて、オバちゃん、ホッ。 よし、エンジンがかかってきたぞ。「農業高校卒の私が学校からの紹介で靴屋の住み込み店員になって、さあ、東京で何をしようと思っていたときに中央線の電車の中で日本ジャーナリスト専門学校の広告を見て、作文が数少ない得意科目だったことを思い出したわけ」と、気持ちよく次から次。 「だけど専門学校でちょっと学んだからって出版社に就職できるはずもない。それを知らない私は喫茶店のウエートレスをしながら履歴書を送っては落ちまくっていたの。そんなある日、キャバレーのホステスになった友達から誘われて面接をしたら『あなたならナンバーワンになれます』と。それで、初出勤日を決めて帰ってきたら、神田の小さな出版社から採用通知! ところがこれが詐欺会社で──」