「福家」…この名字、読めますか? 福をもたらす稲の生育の適した「低湿地」の呼び方が名前に
「福家」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。 【画像】読み方は…こちら ◇ ◇ 「福家」と書いて、「ふくいえ」でも「ふくや」でもない読み方がある。香川県に多いため同県の人にとってはごく当たり前の読み方で、これで「ふけ」と読む。 江戸時代以前の日本では経済の主体は米であった。米は年貢として納めるだけではなく、中世では貨幣の代わりとして物々交換で広く利用されていた。米の生産量は経済規模と同じで、いかに米の収穫を増やすは為政者の重要な使命であった。 こうした時代には、稲の生育に適した低湿地は重要な場所で、各地で様々な呼び方がされた。北関東では「あくつ」といい、中部地方では「あわら」ともいう。西日本では「ふけ」と呼ばれることが多く、これに色々な漢字をあてて、各地に地名や名字が生まれた。滋賀県の「浮気」、広島県の「普家」、長崎県の「泓」、熊本県の「富家」などはいずれもこうして生まれた名字だ。 香川県では、「ふけ」に「福をもたらす」という意味の縁起のいい漢字をあて「福家」としたのが由来。現在、香川県で100位以内に入るメジャーな名字で、高松市や綾川町に集中している。 ◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。
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