キャサリン妃とメーガン妃のウェディングドレスを手掛けた刺繍職人、コロナ禍でホームレスの危機
キャサリン妃のウェディングドレスは「アレキサンダー・マックイーン」のサラ・バートンが、メーガン妃のものは「ジバンシィ」のクレア・ワイト・ケラーがデザインした。どちらもドレスやベールに繊細な刺繍が施されていたが手掛けたのはハンプトン・コート宮殿にある王立刺繍学校の職人たち。この職人たちがコロナ禍で危機的状況に瀕しているという。 【写真】キャサリン妃やメーガン妃ほか、世界のプリンセス&令嬢ウエディングアルバム
2人の妃のウェディングドレス制作に携わったクロエ・サヴェージは雑誌『ピープル』に現在の生活について激白。「恐ろしい状況。私たちの仕事は文字通りなくなってしまった」。クロエは現在43歳。3人の子どもがいる。「14歳の娘は食費を節約するために食事を取らなくなった。ストレスのせいで自傷行為をするようになり、今は『チャイルド・メンタルヘルス・サービス』のサポートを受けている」。
クロエによると王立刺繍学校ではロイヤルたちのウェディングドレスやガウンの他にも「ヴィクトリア・ベッカム」などのブランドの服、舞台衣装、『ハリー・ポッター』『007』シリーズなど映画の衣装も制作している。「1月と2月、海外からのオーダーにストップがかかり始め、仕事がなくなってしまった」。また彼女はイギリスのナショナルトラストの修復士としてヴィクトリア朝の時代の布巾など歴史的なテキスタイルの保存作業にも関わっている。でも「ナショナルトラストはすぐに、予算が大きく削減されるからそのプロジェクトも延期すると連絡してきた」。クロエは自分でも工房を持っているが経営が立ち行かなくなり、雇っていた見習いたちを解雇したという。
今は「刺繍キットを販売して月に250ドルの収入があるだけ」というクロエ。家主や水道局などに支払いを待ってくれるように電話をする日々と送っていると語る。「新年は迎えられるかもしれない。でもその後はまた家賃の支払いを遅らせてもらうように頼み込むことになる。家主がついに立ち退き手続きを始めることを決意してしまうまでは、試さなくてはならない」。
ちなみにクロエはインタビューでキャサリン妃の思い出も語っている。ウェディングドレス 制作中の作業場に入ってきた妃は「針には手を触れなかった。刺繍に血をつけない自信がなかったから」。これまでロイヤルファミリーたちの美しい衣装を手掛けてきた職人たち。この苦境に陥っているのはクロエだけではないはず。彼女たちの生活と技術が守られることを祈りたい。