岡本多緒(TAO)トップモデル、ハリウッド映画のヒロインとして注目「日本で認められたくて」
シャネル、エルメス、ルイ・ヴィトン、ジバンシーをはじめ多くの有名ブランドのショーに出演し、世界各国の「VOGUE」など国際的な雑誌に出演してきた岡本多緒さん。ハリウッド映画「ウルヴァリン:SAMURAI」(ジェームズ・マンゴールド監督)のヒロイン役に抜擢されて以降、モデル活動に加え俳優としても国内外のドラマ、映画に多数出演。2023年、短編映画「サン・アンド・ムーン」で初めて監督業にチャレンジ。「MIRRORLIAR FILMS Season6」の一篇として、12月13日(金)からヒューマントラストシネマ渋谷ほかで2週間限定上映される。(※この記事は全3回の中編。前編は記事下のリンクからご覧いただけます) 【画像】岡本多緒(TAO)トップモデル、ハリウッド映画のヒロインとして注目「日本で認められたくて」
■邦画初出演映画の監督とは不思議な縁が…
「ウルヴァリン~」の翌年、2014年には、「血の轍」(WOWOW)で日本のドラマデビューを果たす。このドラマは、未解決事件を巡る警察内部の刑事部と公安部の対立を描いたもの。多緒さんは、主人公の刑事部捜査1課の兎沢実(谷原章介)の捜査に協力する捜査1課特殊班のエリート・坂上陶子役を演じた。 「5カ月間『ウルヴァリン~』を撮影した後、すっかりお芝居と映画の世界の虜(とりこ)になってしまい、次は母国語でも挑戦してみたいと思っていたので、オファーを頂けた時はすごくうれしかったです。 モデル時代からそうですが、私の仕事はなぜか海外でキャスティングしてもらうことの方が多かったので、それももちろんうれしいのですが、海外だけではなく母国で、日本の皆さんに認めてもらいたいという気持ちが人一倍強くて」 ――パンツスーツ姿がカッコ良くて画になっていました 「ありがとうございます。念願の日本語でのお芝居だったんですが、刑事の役なので、セリフが難しかったですね。普段は使わない言葉が結構多くて、撮影環境の違いもあるのでなじむのに苦労しました」 ――天才ハッカー並みのスキルを持つエリート刑事でしたね 「はい。ああいう刑事はまだ1回だけかな。シャープな秘書とか、そういう役が多いですね。キリッとしたイメージを持っていただくことが多いんでしょうか。本当はそんなにしっかりしてないんですけど(笑)。パソコンも人並みぐらいで。 秘書役に関しては、日本とアメリカで、3回か4回やっているんですが、自分自身はボスの後ろをおしとやかに静かに歩くタイプじゃないので、ボスの前に出て発言しまくっちゃうと思いますね(笑)」 2015年には、映画「クロスロード」(すずきじゅんいち監督)で邦画初出演を果たす。この作品は、ボランティア活動に懐疑的な思いを抱きながら青年海外協力隊に参加したカメラマン助手の沢田(黒木啓司)と、正反対のタイプの羽村(渡辺大)が何かと衝突しながらもさまざまな体験をして成長していく様を描いたもの。多緒さんは二人の仲を取り持つ緩衝材的存在である青年海外協力隊の助産師隊員・志穂役を演じた。 「すずきじゅんいち監督とはその後お会いできていないんですが、すごくご縁を感じる話があって。父がまだ役者をしていた頃、ちょこちょこ昼ドラに出たり、著名な俳優さんと共演させてもらったりしていたそうなんですね。 そんな中で、唯一の主演映画というのがあって。その監督がすずきじゅんいち監督だったんですよ。父が劇場でクレジットを見て気がついて『えーっ?!』っとビックリしていました(笑)。 すずき監督は、そのことをまったく知らずにいたそうで『そんな作品あったかな?』といった感じでした(笑)。時を経てこんなご縁が生まれるって、不思議ですよね」 ――何かと対立する二人の緩衝材のような存在でしたね 「はい。フィリピンロケもあったので楽しかったです」 ――目の前で産気づいた女性を助けることになって 「志穂は『母子共に助ける、助けたい』という一心で動いていたんですが、実際あれほどに貧しい国だと、子どもができたことによって働けなくなってしまうという彼女の葛藤もわかる。 あの頃は私も若かったというか、いろいろ精一杯だったので、経験と年齢を重ねた上で演じさせてもらえるとしたら、また違うんだろうなって思いますね。 志穂は目の前の命を助けること、それが絶対的な正義と思い込んでいるんだけど、現実はなかなかそう簡単ではないかもしれない」 ――結果的にはその時の母親と数年後に再会した時、『子どもが宝物』と言うのを聞いてホッとしました 「そうですね。彼女の場合はそうだったんですが、自分の価値観で正しいと思った行為でも、相手にとっては違うということもある。あの作品でいろいろ考えさせられました」