岡本多緒(TAO)トップモデル、ハリウッド映画のヒロインとして注目「日本で認められたくて」
■再びハリウッド映画に出演。ストーリーを知らないまま撮影に
2016年、映画「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」(ザック・スナイダー監督)で再びハリウッド映画に出演することに。スーパーマンの宿敵レックス・ルーサー(ジェシー・アイゼンバーグ)の秘書・マーシー役を演じた。『ウルヴァリン~』を見て惚れ込んだザック・スナイダー監督のご指名だったという。 『ウルヴァリン~』はマーベル、『バットマン~』はDCコミックと、アメリカの2大ヒーローユニバースに出演というのは、ハリウッドでもレアなケース。 話を聞いたのが2013年の秋ぐらいで、撮影は2014年。公開の2年くらい前でした。内容も役柄も内密にと言われていたので、2年以上誰にも話せないのが大変でしたね」 ――スーパーマンの敵であるレックス・ルーサーの有能な秘書・マーシー役でしたが、 あっさり爆殺されちゃって驚きました 「そう。私もビックリしました。いまだに『TAOの無駄遣いだ』ってファンの方が怒ってくれています(笑)。実は、撮影に入っても台本は自分のシーンしかもらえなかったので、部分的に知らされていないところも多く、特に自分のキャラクターが死んでしまった後のエンディングがどうなっているのかは、全く分からないまま撮影に挑んでいたんです」 ――ストーリーなど情報が漏れないようにということですか 「そうです。もうソーシャルメディアの時代になっていたので、どこで内容が漏れてしまうかわからないからということで、自分が携わっているシーンしか読めないんですよね。だから話の流れがわからない部分もあって。爆発の後のマーシーの描写がなかったので『もしかして、私は死んじゃったの?』みたいな(笑)。 自分のキャラクターの安否を監督に直接聞く勇気がなかったので、話しやすいスタッフの方に『私ってあの爆発で死んじゃうの?』と探りを入れるんですが、みんな守秘義務があるから言葉を濁すばかりで…。 でも、確か撮影後半で、スナイダー監督から何かの説明を受けている時に『~だからマーシーが殺されちゃったじゃん?』みたいな感じでポロッと明かされて…。実は生き残っていて次回作に戻って来られるかも?なんて内心期待していたので、ガッカリした気分を顔に出さないように気丈に振る舞ったのを覚えています(笑)」 2017年、映画「ラプラスの魔女」(三池崇史監督)に出演。この作品は、不可解な事件の謎に挑む地球化学専門家・青江修介(櫻井翔)がさらなる事件に巻き込まれていくさまを描いたもの。多緒さんは、脳神経細胞再生の第一人者・羽原(リリー・フランキー)の部下でヒロイン・円華(広瀬すず)のボディガード桐宮玲役を演じた。 ――三池さんの現場はいかがでした? 「作品の雰囲気で、三池監督はちょっと怖い方なのかな…という思い込みがあったんですが、もちろんそんなことはなく。とても紳士で、すてきなお人柄でした。 日本だと『アクション』って言わない監督さんが多いじゃないですか。『用意、スタート』みたいな感じで。それがわからず全然反応できなくて。『スタート』と声がかかっても、『???』と驚いてしまって(笑)。そうしたら、三池監督が優しく『日本はアクションってあまり言わないんですよ。スタートでお願いしますね』って言ってくださって。 とっても恥ずかしかったんですが、三池さんをはじめ周りの皆さんが笑ってくれたので救われた気持ちでした」 「ハンニバル」、「高い城の男」、「ウエストワールド」などアメリカのドラマにも出演。「ウエストワールド」では、「ウルヴァリン~」で父親役だった真田広之さんと再共演した。 「エミー賞を受賞した『SHOGUN 将軍』でも周知の話ですが、日本の文化をちゃんとハリウッドに伝えるべく、奮闘されていらしたんです」 ――いろいろ大変だったと思いますが、今年は「SHOGUN将軍」が多くの賞を受賞されて良かったですよね。ようやく報われたという感じでしょうね 「真田さんの想いが届いたのだと思います。『ウエストワールド』でご一緒した時も日本の文化のアンバサダーのような立場で、ご自身の撮影がない日も現場にいらして、『あそこがおかしい』とか、『あそこのセットがちょっと日本っぽくない』とか、アドバイスをされていました。 俳優としての出演もありながら、現場監修もされていて。そういった真田さんの姿を間近で感じることができて、とにかく学ぶことの多い現場でした」 海外を拠点に国内外のドラマ、映画に出演してきた多緒さんは、2023年に拠点を日本に移し、「岡本多緒」として活動をスタート。「ラストマンー全盲の捜査官-」(TBS系)、映画「沈黙の艦隊」(吉野耕平監督)などに出演。次回は、12月13日(金)から「MIRRORLIAR FILMS Season6」の一篇としてヒューマントラストシネマ渋谷ほかで2週間限定上映される初監督短編映画「サン・アンド・ムーン」の撮影エピソードなども紹介。(津島令子) スタイリスト:Eriko Iida(CORAZON) 衣装協力:ピアス、ネックレス、リング/CASUCA(カスカ)
テレビ朝日