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古着を「移民」と見立てたコレクションピース。PUGMENTの個展がタカ・イシイギャラリーで開催中

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美術手帖

 ファッションにまつわるイメージと人との関係性に着目するファッションレーベル「PUGMENT」。その作品の多くは、現代に流通する日常着についての考察を起点として、洋装化以降の日本の服飾史や文化の変遷、衣服と人・都市・社会との関係に焦点を当てた丹念なリサーチに基づく。  PUGMENTは、毎度コレクションの見せ方もユニークだ。人類滅亡後の世界で意思や感情を持ったファッションが衣服に憑依するという架空のストーリーを組み立て、近未来の防護服をイメージした「1XXX-2018-2XXX」(2018)や、原宿を中心に発展した日本のファッション史に焦点を絞った「Purple Plant」(2019)など、写真・映像・パフォーマンスといった多様なメディアを用いてコレクションの発表を行っている。  ファッションの持つ消費サイクルと流行、その破壊の力までを視野に入れたPUGMENTの作品群。いずれの作品からも、流通システムそのものの性質を俯瞰しながらも皮肉な自己言及のみに陥らず、それをポジティブに再変換しようとするデザイナーの意識がうかがえる。  現在、そのPUGMENTの2020年秋冬コレクション「Never Lonely」が、東京・六本木complex665のタカ・イシイギャラリーで展示されている(~6月20日)。様々な国の古着の型を複製してつくった本コレクションは、出身地を遠く離れて日本へやってきた洋服を移民に見立てたものだという。  服は、日本に輸入された海外製品の古着を異なる生産国同士で組み合わせ、安全ピンで接合。この安全ピンは、16年にイギリスで欧州連合離脱が決まった際や、ドナルド・トランプが米大統領選で勝利したあとに、移民やマイノリティグループに対してのヘイトクライムに対抗の意思を示すため、安全ピンを服につける運動を参照しているという。  服を包むターポリン素材の衣類カバーには、日本のファッション誌で古くからある「置き画」の方法で撮影した写真が印刷されている。置き画とは、服を人に着せずに平面に置いた状態で撮影する手法だ。  置き画の歴史の始まりは1868年に遡る。日本の洋装は、主に明治天皇が洋装化を指導したことからヨーロッパから流入。その後1945年にGHQによる占領でアメリカの日常着が流入した時期を通して一般的となった。一着に小物を添え完結する和服に対し、洋服は複数のアイテムを組み合わせて着用するため、日本人向けの雑誌上でコーディネートを指南するために置き画という撮影方法が生まれた。  異なる時代や文化の要素が混ざり合うことで新たなアイデンティティが生まれる時代背景と、海外文化の流入により独自の文化を発展させてきた戦後日本の服飾史を共通したプロセスととらえながら表現されている。  

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