“世界のFUNAI”船井電機 異例づくめの破産劇「300億円」資金流出か… 消えた金の内訳判明「名門終わらせない」事業再生への動きも【news23】
しかし、その後は中国企業などとの価格競争に敗れ、業績は悪化の一途。哲良氏が亡くなると、創業家は外部の経営者に立て直しを託します。 白羽の矢が立ったのが、コンサルタント会社出身で出版会社社長の男性。新たな経営陣がまずとったのは、船井電機の上場廃止でした。 この動きに、企業の信用調査をする会社の担当者は疑問を呈します。 東京商工リサーチ情報部 山本浩司 部長 「上場していると報告義務があるので経営の透明性が保たれるが、非上場になった場合、まったくクローズなのでわからない。自分の好きなようにやりやすくなる」 そして船井電機は2023年、大手脱毛サロンを買収するなど事業の多角化を進めますが、経営は迷走します。本業の赤字に加え、巨額の資金流出があったというのです。 東京商工リサーチ情報部 山本浩司 部長 「破産を申し立てた時点では、現預金がほぼすっからかんになっていた。約300億円の資金が流出したと」 流出したとされる資産300億円について、破綻直前まで社長を務めていた男性は、JNNの取材に対し「私的な出費など不正を働いた理解は一切ない」としています。 そして10月24日、突如発覚した経営破綻。創業者の親族で取締役の男性が、取締役会の決議を経ずに単独でできる「準自己破産」を申し立てたのです。その日のうちに東京地裁が破産開始を決定する、異例の展開でした。 ■会長「名門の船井電機を終わらせるわけには絶対にいかない」 破産の申立書などによると、船井電機の債務超過は約117億円に上るとされています。でもなぜ、会社の存続を図る道ではなく、FUNAIブランドとともに会社が消えることになる破産手続きを選択するに至ったのでしょうか? 申し立てを行った取締役のもとを訪ねるも、話を聞くことはできませんでしたが、企業の信用調査をする会社の担当者は次のように語ります。 東京商工リサーチ情報部 山本浩司 部長 「違う経営者が“乗っ取り”のような形で入ってきて、創業家一族の方が『船井電機を守りたい』という思いから、どうやら破産の申請をされたようです」