「種を吐く」テッポウウリのメカニズム、種の存続における理想のシステムだった
種の存続のため、生き物は実にユニークな方法を編み出してきました。自分の足で移動し、相手を探すことができない植物には植物なりのユニークな繁殖方法があります。 種を勢いよく噴出するテッポウウリ。オックスフォード大学率いる研究チームが、その知られざる噴出メカニズムを追っています。
テッポウウリのメカニズム
テッポウウリは古くから存在する植物。葉っぱには細かい毛があり、小さくかわいい黄色い花を咲かせます。7cmほどの果実をつけ、これが熟すると、汁と一緒にタネを噴出。タネが飛ぶスピードは最大秒速20mほどで、10mも飛ばすことができます。 オックスフォード大学とマンチェスター大学の科学者からなる研究チームでは、数学モデル、ハイスピードカメラ、CTスキャナーにカメラと、ありとあらゆる手段を使ってタネ噴出のメカニズムを調査しました。 オックスフォード大学のDerek Moulton氏いわく、タネ噴出はあまりのスピードに一瞬何が起こったかわからないほどだとか。 植物園で最初に見たときは、タネ噴出があまりに速くて、実際に起きたかどうか確証が持てないほどでした。ユニークな植物のメカニズムを掘り下げ、解き明かしていくのはとても面白い研究でした。 今回わかったのは、タネ噴出の数週間ほど前から、テッポウウリは汁をため、かなり圧がかかった状態になること。噴出前日には、果実から茎へと粘汁が移動し、果実が45度に傾き、茎がより長く太く固くなります。この茎が外れると、果実が反対方向に回転し勢いよくタネを噴出。 タネが飛ぶ方向、噴出のスピードはタイミングしだい。たとえば、ハイスピードで飛び出すタネは、最も低い角度からの噴出であり遠くまで飛びます。ゆっくり飛ぶのは噴出角度が高いときで、タネは近くに落ちます。この方法によって、1株の植物が複数の果実をもって、2mの円内にほぼ均等にタネを飛ばすことができます。 タネを噴出すること自体が驚きですが、研究者たちいわく、果実から茎に汁を戻すという行動もまた、植物界ではユニークなのだといいます。