「ミャンマー人は僕の個性」唯一無二へと奔走する俳優・森崎ウィン
スティーブン・スピルバーグの映画『レディ・プレイヤー1』(2018年)で、一躍その名を世界に知らしめた、俳優・歌手の森崎ウィン。ミャンマーで生まれ育ち、10歳のときに日本に移住したという、異色の経歴でも注目される彼は今、ミュージカルの舞台に積極的に挑戦している。 【写真】インタビューの様子 そして、この夏再演されるミューシカル『ピピン』では、ついにシングルキャストとして、初めて主演をつとめることになった。そんな森崎に『ピピン』の意気込みや、ミャンマー人であることへの思いなどを、いろいろと聞いてきた。 取材・文/吉永美和子 写真/横江実咲
■「僕も常に、自分を探してますから(笑)」
──『ピピン』は2019年に、城田優さん主演で上演された舞台の再演ですが、森崎さんは普通にチケットを買ってこの舞台を観て、いたく感動されたそうですね。 総合エンタテインメントの最高峰だと思いました。幕が上がると、いきなりストーリーテラー役のクリスタル・ケイさんがお客さまに話しかけてくるし、いろんなマジックが起こって「これどうなるんだろう?」って、ずっとドキドキハラハラさせられました。楽曲も「ヤバい、歌いたい」と思わせてくれるし、ストーリーも自分と重ね合わせて考えさせられるところがあるし、ずっと興奮していましたね。 ──ピピンのテーマは、いわゆる「自分探し」ですが、そこをご自身と重ね合わせたということでしょうか? 僕も常に、自分を探してますから(笑)。いろんな作品と出合って、新しい知識にふれるたびに、自分の信念とか概念が変わっていって「あれ? ここを目指したつもりだったのに、今の俺、ぜんぜん違う所にいる。これからどうなっていくんだろう?」と思ったりする。今僕は31歳ですけど、それがまだ続いている状態です。 ──森崎さんと城田さんが『ピピン』の曲をデュエットした動画が、公演サイトに上がっていますが、城田さんが「ここでは十分満たされたから、違うものを探しに行こう」という印象があったのに対して、森崎さんは「まだなにか欠けている。ここにないピースを探しに行こう」という違いがあるなあ、と思いました。 「俺はこういう人だから、こうなんだ」ということは、死んでも言いたくないけど(笑)、なにかを探し求めて、なにかになろうとする気持ちが反映されたのかもしれないですね。でも、はたから見ると恵まれてるけど、本人は満たされてないっていうのは、どんな世界でもあるじゃないですか? たとえば僕は、役者として今恵まれた環境にいると思うけど、演じながらここ(心)が削られることも結構あって。恵まれているけど、恵まれていないという、その狭間にいるからこそ、逆におもしろかったりすると思うんです。 ──その共感ポイントの多さが、城田さんをはじめとするいろんな人が、森崎さんを「ピピンにぴったり」と言う理由なんでしょうかね? どうなんでしょうね。ピピンに限らず、どの役をやっても「これは僕にしかできない」と言えることって、あんまりなくて・・・もしかしたら、その理由を見つけるための旅になるかもしれないです。