<ドラフト会議>最大9球団が指名も 注目の両右腕 即戦力はどっち?
大瀬良は「マー君に似ている」
【大瀬良評】 マー君に似ている。非常に馬力がある 桐光学園の松井君よりも大瀬良指名に傾く球団が増える理由はよくわかる。故障することなく順調に成長すればチームの大黒柱的なピッチャーになる可能性は十分にあると思う。 ただ、ボールをリリースする瞬間でのスピード感といったものが欲しい。腕の振りだ。おそらくコントロールを重視しているのだろうが、まだマー君なんかに比べるとボールを置きにいっている。その部分を修正すればもっとボールは速くなるだろう。ただ腕を「振れ!振れ!」と言うと、ピッチングが固くなるので注意はいる。もっと下半身に粘りも必要だ。今は上体が先に動く。そこを意識的に止めようとしているにもわかるが、ちょっと突っ立ったようなフォームになってしまっている。そこを我慢できるようになれば、間違いなくマー君クラスになれると思う。もっと球速もアップするだろう。
吉田は「丁寧に投げる。制球力をもっている」
【吉田評】 ヤクルトにいた尾花高夫タイプだ。丁寧に投げていることに好感が持てる。フォームに悪いクセがなく制球力を持っている。まだまだ線が細いし、プロでフィジカルが鍛えられ、度胸もついてくれば、平均140キロ前後のボールは、もっとスピードアップするだろう。 おそらく、この投手は高校時代には力がなかったと思う。控え投手だったのだろう。これだけの体を持っていて、これだけのボールを放っていたらとっくにプロが目をつけている。こういう大きな体を持った選手は、高校からすぐにプロへ進むと失敗するケースが多い。周囲のレベルがあまりに違い自分を見失うのだ。しかし、大学、社会人と進む場合は、周囲のレベルに順応しながらゆっくりと伸びてくる。吉田君は、そういうタイプなのだろう。今回のドラフトで注目投手として浮上した理由もよくわかる。
元スカウトは大瀬良を指名
どちらがより即戦力か?の論争に答えを出してもらうため、最後に元敏腕スカウトに意地悪な質問を投げかけた。 ーー片岡さんが、スカウトならば、今回、どちらの投手を指名しますか? 「大瀬良君だな。本来、馬力型のピッチャーは当たり外れがあることが多い。その点では吉田君の方が、柔らかさを持っていてピッチャーらしいとも言えるが、スピードとコントロール、将来性という部分までをトータルで考えれば、マー君2世になる可能性がある大瀬良君ではないだろうか。私は、映像だけで、実際に現場で見ていないから、無責任な発言になることをお許し願いたいが、大瀬良君が成功するか、どうかは、マー君のように相手へ向かっていく強い気持ちがあるかどうかにかかっている。映像を見る限りでは気が強そうだが、そのあたりまでスカウトは調整しておくべきだろうね」 片岡さんは、大瀬良に1票を投じた。だが、大瀬良か、はたまた、吉田か? 「どちらがいいの?」という論争の答えは、来年の春、いや、もっと先にならなければわからない。それが、どうにも厄介なドラフト会議というものである。 (構成・藤江直人/論スポ、アスリートジャーナル)