女子に学歴は必要ない?いまだに残る地域格差。女性の進学を阻む偏見と教育環境
NPO法人「Gender Action Platform」理事の大崎麻子さんは「ジェンダー平等とは、男女が等しく権利と機会を得て、責任を分かち合い、意思決定に参画できる状態」と説明した。 その基盤は女性が自己決定しながら生きる力だという。大崎さんは「性と生殖に関する健康や男女対等な人間関係などを人権の観点から学ぶ包括的性教育が必要。日本でも導入するべきだ」と教育の重要性に言及した。 ▽東京でのキャリア、地元では浮く? 食品製造「デリカウイング」(広島県廿日市市)の細川志織さんは、自らの学びの選択がキャリアに生きたと話す。 3歳から広島で育ち、中学生で英語のスピーチコンテストと出会い上智大学に進んだ。卒業後、より英語実務を通じてマネジメントを学びたいと外資系金融大手のJPモルガン証券に入社した。 リーダー職から部長職に至るまで、マネジメント経験を10年以上積み、同郷の夫と結婚。広島へUターンした。夫の家業の製造業で社員研修を担当したことをきっかけに、現在は大学での非常勤講師や女性起業家支援に携わる。女性社員が長期的に働けるよう、キャリア形成のワークショップや、関心が高い子育てや介護などをテーマとしたお茶会を開催している。
地元に戻った当初は「もしかしたら私、浮いてしまうかも」という怖さもあった。しかし「諦めずに活動していると、どんどん仲間が増えていった」。東京での学びや経験が地元に戻って生きているという。 ▽女子生徒の選択肢、広がる 理系分野の女子学生比率を上げようと取り組む山田進太郎D&I財団では、理系を選択した女子高校生への奨学金の支給や、中高生が理系の大学や職場で活躍する女性を訪問する事業を行う。 財団の石倉秀明さんは「ジェンダードイノベーション」に期待を寄せる。大学に女子学生が増えれば、「女子トイレが少ない」「徹夜でやるような実験は体力的に厳しい」といった、新たな視点が生まれるという。どれも男子中心の環境では気づかないことだ。 この考えは企業にも当てはまる。例えば自動車事故。女性の負傷者が多いが、長年メーカーの耐久テストでは男性のマネキンが使われていた。そこに女性技術者が加わると、大きな変化があった。「女性サイズでやらないのか」との疑問を投げかけられた。それをきっかけにテストの方法は改善された。