ヴィッセル神戸、天皇杯優勝 G大阪に1-0 5大会ぶり2度目の栄冠
サッカーの第104回天皇杯全日本選手権決勝は23日、東京・国立競技場であり、ヴィッセル神戸が宮代大聖のゴールでガンバ大阪を1-0で下し、初タイトルを獲得した第99回大会以来5大会ぶり2度目の優勝を飾った。神戸は昨季のリーグ初優勝に続き、通算三つ目のタイトルに。71大会ぶりとなった関西勢同士の決勝を制した。 【写真】パブリックビューイングの会場で気合を入れるサポーターたち 初タイトルから5年近く。昨季リーグ初制覇を遂げた神戸が、聖地で三つ目の栄冠をつかんだ。大会6試合で出場選手は27人を数え、吉田監督が言う「みんなで勝ってきた大会」を体現した。 均衡を破ったのは後半19分。GK前川のロングキックから、大迫がボールを収め、武藤がドリブルでゴール前まで切り込んでシュート。相手守備陣がはじいたボールを、詰めていた宮代が右足で押し込んだ。 今季リーグ戦で自身初の2桁得点を挙げた24歳にとって、前回天皇杯覇者の川崎時代に続く2年連続の決勝舞台。所属5チーム目となり、「自分の選択を正解にしなきゃいけない」と語る通り、自らの手でタイトルをたぐり寄せた。 準決勝までは過密日程もあった中、リーグ戦から先発を入れ替え、GK新井、DF岩波らが奮闘して勝ち上がった。決勝は守護神の前川、得点源の大迫と武藤が今大会初先発。「出る選手は責任感を持って、初戦から戦ってくれた仲間の思いもぶつける」(酒井)と気持ちを込めた。大黒柱の宇佐美を負傷で欠いたG大阪の素早い攻守の切り替えに手を焼いたが、隙を突いて流れを変えた。 2020年元日の歓喜とは違う。当時はイニエスタ、ポドルスキら強力外国人が目立った。当時も山口とともにピッチに立っていた酒井は「今大会はクラブとして勝ち取れる自信に満ちあふれて挑める自負がある」と、チーム力で栄冠をつかんだ。 今季の航海はまだ終わらない。2位広島と勝ち点3差の首位で、連覇が懸かるリーグ戦は残り2試合。主将の山口が「優勝すれば勢いに乗れる」と言う通り、2冠へ突き進む。(井川朋宏) 【ヴィッセル神戸】川崎製鉄水島サッカー部が母体。クラブ創設後の初練習を予定した1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生した。96年の日本フットボールリーグ(JFL)2位でJリーグ昇格が決定。成績不振に伴う経営難となった2004年、楽天を率いる三木谷浩史氏の個人資産管理会社が営業権を取得し、15年に楽天グループの傘下に移った。元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタら国内外のスターを擁した20年元日、クラブ初タイトルとなる天皇杯を獲得。発足29年目の昨季、J1リーグを初制覇した。