養殖ウナギはなぜか9割がオス「幻」のメスウナギを新ブランドに 浜名湖の名物最新技術の秘密は…「大豆イソフラボン」
静岡放送
静岡県の浜名湖の養殖業者らが新たなブランドウナギを発表しました。その正体はこれまで「幻」とも呼ばれていたメスのウナギです。おいしいウナギを生んだ最新の技術に迫ります。 【写真を見る】養殖ウナギはなぜか9割がオス「幻」のメスウナギを新ブランドに 浜名湖の名物最新技術の秘密は…「大豆イソフラボン」 長年、愛されてきた浜名湖の名物「ウナギ」。11月29日、歴史的な転換点を迎えました。 「新ブランド名は…『でしこ』です」 地元のウナギ業者らが発表したのは新ブランド「でしこ」。最大の特徴は性別が「メス」だということです。 <浜名湖養魚漁業協同組合 外山昭廣組合長> 「柔らかいウナギ、脂がのっているウナギ、メスがそういう感じを持っているのは昔から言われていて、それを『でしこ』として出荷、生産できることになった」 ウナギは成長の過程で性別がわかれる魚で養殖されたウナギは、なぜか9割がオスになります。つまり、いま私たちが食べいているウナギのほとんどはオス。新ブランドの条件となるメスは「幻のウナギ」とも呼ばれるほど貴重です。 では、どうやってメスのウナギを確保していくのか。その秘密は養殖場でエサに混ぜられる「ある成分」です。 <浜名湖養魚漁業協同組合 小川博之販売部長> 「これが大豆イソフラボンです。これをウナギの稚魚から25gの間にエサに混ぜて食べさせると女性ホルモンに似た作用があり、メスに誘導していく」 女性ホルモンと構造が似ている「大豆イソフラボン」を小さなウナギのエサに入れることで、9割がメスになるという技術を浜名湖の養殖業者が取り入れたのです。 また、浜名湖の養殖池は底が土になっていたり、天然のろ過技術が用いられたりするなど、他の養殖が盛んな地域とは差別化できる伝統があります。 <浜名湖養魚漁業協同組合 小川博之販売部長> 「我々としましてはメスウナギにプラスして、浜名湖養殖発祥から125年の経験があるので、その伝統技術をメスウナギに上乗せして高品質なウナギを作っていこうと」 メス化のメリットは他にもあります。メスとオスは成長スピードが違います。浜名湖周辺のウナギはオスは初夏から秋、メスは秋から春くらいが出荷に適したシーズンになり、私たちは高品質のウナギを今までよりも長い期間、楽しむことが出来ます。 最新技術と伝統の融合で生まれた浜名湖ウナギの新ブランド。浜名湖養魚漁業協同組合は、出荷するごとに味などの品質検査を2回実施し、合格したウナギだけを「でしこ」に認定するとしています。
11月29日に初出荷したのは3トン(約1万2000匹)で、当面は浜松市内で展開するということです。
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